ココからのブログ

昭和生まれの50代ココです。

いいねは押せないけれど、いつかは良くなる。

その文字の羅列を見つけて、また少し悲しくなった。


分かっているのなら見なければいいのに、私はたまにそれを見る。


なにか変化があればいい。
少しでもいい方向に変わっていれば、もう二度とは見ないと決めて期待しながら見てしまう。




お母さんは余計なことまで心配になるから生きずらいだろうねと以前、長女に言われた。
人類全般を心配しても、どうしようもないのにさ。

そんな事はないと言い返す。



でもそうなのかもしれない。

人類全般は言いすぎだけど。

コロナと同時に大学生。




コロナがまだ始まったばかりの頃。


息子は大学を目指す受験生だった。

コロナのニュースを見てクルーズ船でずっと寝ていれるなんて羨ましいと不謹慎なことを言っていた。


小さい頃からあまり勉強しなくても頭がいい子で、高校はあまり頑張らずに地域2番の自由な校風の進学校に入った。

家ではほとんど勉強しない息子だったがなんとかセンター試験を経て関東の国立大学に入ることが出来た。



常にふざけてばかりいた息子が、私の見ていない学校で猛勉強していたのは、実は大学が決まり紙ゴミを一気に捨てる時のノートの跡を見てはじめて知ることとなる。



ようやく春はきたがコロナは終わるどころか、緊急事態宣言が始まった。




スーツを買ったが大学の入学式は中止となった。



買い揃えた新生活の品物を部屋の片隅に積んだままひたすら大学の情報を集めるために、親も子もスマホばかり見ていた。



上京してもオンラインだということで息子は行くのを取りやめ部屋で授業を受けた。
本当は行きたかったと思う。


完全に腐っていた。





大学の発表する今後については本当に遅くて、大学名でTwitterを眺める方が情報が早かった。



#春から○○大学

たくさんの大学名を入れたこの文字がTwitterの中をさまよっていた。




いまだに知り合いがいなくて不安です。
一人で部屋にいて寂しいです。
1ヶ月も誰とも話せていません。
大学生になった気がいまだにしません。





中学生が感染対策をしながら学校に通うようになっても大学生はいつまでも自分の立場で得るはずの学びと楽しみから、ポツンと取り残されていた。




息子は地元のスーパーで夕方の値引きのアルバイトをした。
帰ってから夜中になると、通話をしながら朝までオンラインゲームをしていた。

昼の授業は寝っ転がってだるそうに受けていた。



言いたい事はたくさんあったが、全体の8割引くらいの注意と叱責で抑えた。
仕方ないのだ・・・

お互いストレスがたまり気を使いあいながら過ごす日々。

息子の大学1年生の夏休みはこんな風に終わった。




9月になった。
息子の大学は対面授業のスタートを決めた。


夫が駅まで見送って上京した。
かっこつけて帽子をかぶり香水をつけて新幹線に乗った。

半月遅れでようやく本当に自由な大学生になる事ができた。


息子は上京しても相変わらず馬鹿なことばかり呟いていたが、母は息子のTwitterを見るのを辞めた。



自分もそうだったが早く自由になりたかった。
親に呟きを見られながらの生活だったら絶対に嫌だった。


息子はなんとか頑張るはずだ。


余計な心配をするわるい癖。




ずっと気になる大学生がTwitterにいた。



息子と同じ大学の違う学部の男の子。



同じようなスタートのようだった。




今日も誰とも話せなかった。
対面授業が始まった時にもっと積極的に話せばよかった。
皆どうやって友達ができたのだろう。
自分は存在している意味はあるのかな。





その子の呟く文章から賢くて真面目な性格が出ていた。



なんの関係もないその子が、どうにか大学が楽しくなればいいと考えた。

息子ではなく親戚でもなく何の関係もないその子の日常が少し気になった。


息子は時々連絡が来てどうにか暮らしているようだった。



1年目の冬。

息子は帰省しなかった。

送ってあげた「凄くいい肉」を食べながら一人で部屋で過ごしていた。


「友達は出来た?」

「まあそれなりに」


「コロナに気をつけてね」


「うん大丈夫」




私はTwitterをやめた。



もう見る必要もないし、その頃少し忙しかったのでアンインストールした。
その理由の一つにあの男の子の心配をしてしまうからというのも実はあった。


うまくやれないときもある。




最近久しぶりにTwitterをはじめた。



あの男の子友達出来たかな?


祈るような気持ちで見た。




そこには1年前から時間が止まっているかのように孤独を嘆く呟きが続いていた。

もちろんコロナだけが悪いわけではないだろう。





どこかのコミュニティでうまく馴染めなかったり、少し浮いてしまう人はいる。
本人のせいというよりちょっとのタイミングだったり、なぜかそこでは良さが発揮できないということもあるだろう。


それはその人にも責任があるんだよ。
大学生にもなったら 友達くらい色んな手段があるんだからできない方がおかしい。
すかしてるから悪いんだよ。



そういう意見もあるかもしれない。



だけど

ひとりで過ごす彼が、なにかスタートで重大な過ちを犯したのだろうか。


気づいた時には
いつの間にか
周りが仲良くなっていたあの子。


せっかく頑張って大学生になって、
最初は同じように呟く大学生だったのに
2年が終わる今。
本気で切実に
どうしていいかわからずにいるようだった。



私には全く関係の無い


1人の男の子。



人生は長いからどうか負けないで。


自分を卑下する彼の呟きに、いいねは押せないけど。

必ず人の痛みが分かる素敵な人になるよと
ずっと思っている。

           ココ