母について
この前、9合目からの登山をした。 8合目まで車で行き、そこからリフトで9合目まで移動。 残るはあと一合。 距離にして600メートル、高低差155メートル、約40分。 と、言われても正直よくわからない。 山の1合。 米の1合くらいの気持ちでいた。 だが、 そんな…
昭和の女子高生はやけに占いが好きだった。当時私の住む田舎町より少しだけ都会の町で、手相がよく当たると評判の喫茶店があった。指が一本短くてちょっと怖いマスター。カレーを食べた客に頼まれるとサービスで手相を見てくれるという店だった。インベーダ…
母は私を連れて何度か家出をした。遠いセピア色の思い出。 決行は夜明けと共に。 毎晩家に帰らず酒を飲み歩くような父だったので当然けんかも多かった。でも「父が帰らない夜」というのは我が家にとって普通の日常だった。普段は父不在のほうが、何の問題も…
母方も父方も共に祖父は長生きだった。 幼い頃はよく分からなかった。 母方の祖父は何事にも厳しく怖かったようだが私にはいつも優しかった。祖母は母がまだ小さい頃亡くなり後妻さんがいた。私は大人になるまでその人が自分のおばあさんなのだと思っていた…
月餅を30個も作った。月餅を作るのは今月これで3回目だ。前回までは1回で10個だったが、毎回好評ですぐなくなった。「美味しい」珍しく夫が言った。もう飽きてるかもしれないのに作っている。ぐるぐる考えながら。 最近。夫は三叉神経痛とやらで、時々頭痛が…
悩む理由は人それぞれで、悩みの前では皆自分が主役だ。なにで悩もうがご自由にである。 切羽詰まった感情。 私は30代で鬱病と診断された。きっかけは身近な人の不慮の死だった. そこから自分のありとあらゆることが嫌になった。頑張ることもむなしく感じま…
気を抜いて歩いていると建物のガラスにイケてない疲れたババアがいた。それが自分だと気づくとがっかりする。もうすこしイケてるつもりだったのに。 きちんと理解するべき現状。 娘達にとって50代の私は ”旬を過ぎたオバサン"にしか見えてないんだろうと思う…
突然何かのきっかけで嫌な気持ちになるスイッチ。 嫌な事があった時の季節とかその匂い、言葉などで一気に嫌な気持ちが再現されるのだ。わけの分からない急なテンションの低下や突然の不機嫌は女の場合だいたいそれだろう。 私にも幾つかスイッチがあって、…
いい加減忘れればいいのに。記憶というのは相当にしつこいものだ。 人の目ばかり気にしている母。 母は常に世間の目を気にして暮らしていた。「みんながお前のことをわらってたよ」「人にわらわれないようにちゃんとしなさい」母の口からこのような言葉が多…
うんざりしながら聞いている誰かの悪口。母親はこんな顔をしていたんだなと冷静に眺める自分。昔はもっと楽しく過ごせたはずなのに。歳を重ねるというのはこんなにも重苦しい悩みが増えるものなのか。 お土産はふこうな話。 母は不幸な話が好きだ。どこかの…