ココからのブログ

昭和生まれの50代ココです。

懐かしさとあたらしさを日がな一日探す。

最近面白くて見ているブログでとんでもない距離を一日で歩いている人を見た。

ikuzoblog.com


朝から夕方までかけて40キロ。
途中ラーメンを食べたりコンビニで買ったビールを飲んだり休憩しながら帰省した故郷の田舎道をひたすら歩いていた。




ちょっと羨ましくなったし、なんとなく気持が分かる。

さすがに40キロは無理そうだがぜひやってみたい。

大人になってそんな無謀な事をするのはワクワクする。
そしてもともと歩くのは好きだ。

めっちゃ歩いたことが昔あった。



高校生の時。

保育園からの幼なじみの友達が泊まりにきて、一晩中喋ってほぼ徹夜に近い状態の明け方。

変なテンションになった状態でまだ夜が明けきらず少し暗いうちから散歩に出かけた。


今思うとあの頃の女子は好きな人の家を見に行ってあそこの部屋が〇〇くんの部屋だと窓を見上げてドキドキしたりというストーカーまがいなことをよくしていた。


今考えるとキモイし問題になりそうだがが高校の住所録が普通に全員に配られる時代。
そんなことくらいちょろかったのだ。


友達と2人。

変なテンションの夜明けのストーカー散歩をしながら明けてくる空を眺めて気分よく歩いていたら、
このまま少し離れた街まで歩いて行ってみようということになった。


およそ16キロ。
私たちの住む田舎の町からすこしだけ都会の街。
休みの日に一張羅を着て買い物しに汽車に乗って出かける街。


今から歩けばたぶん店が開く前に着いちゃうから着いたら駅前でなんか食べよう!

いいねいいね。

あたしミスタードーナツも行きたい。


いいねいいね。


スキップで行けば疲れないんじゃない?


やってみるべ~。

田舎の一本道を大笑いしながらスキップで進んだ。

本当だ!全然疲れない!

おバカ二人組は無駄に体力を使いながら、どんどんどんどん進んだ。


それから数分後。

段々口数が減り全く会話をしなくなった。
昨晩から眠ってない上に思ったよりも一本道が長い。
歩いても歩いても同じような景色が続くばかり。
車だとあっという間の道がこんなに続くとは思っていなかった。
16キロを甘く考えていた。

日差しも強くなり私と友達はだんだん険悪な雰囲気になってきた。

この馬鹿なことを思いついたのがどっちなのかということでお互いに心の中で相手に対してイライラしているのだ。


スタート時の馬鹿みたいにスキップして大笑いしていたのはなんだったのかという感じ。
ひたすら無言でトボトボと歩いた。


一本道が終わり曲がると国道に入り交通量が急に増えてきた。
2人が歩く横を車がビュンビュン通る。
歩いてる人などめったにない。
私と友達はついには前と後ろでかなり離れて歩いた。


今思うとどこかで引き返すなり、駅かバス停を探して戻ればよかったのに
そんなことはまったく思いつかずにひたすら歩いていた。

お互い意地でも自分から帰ろうと言いたくなかった。
引き返すとここまで歩いたことが無駄になるのも嫌だったのだ。やめると言ったほうの負けだ。


そんな感じで歩いていたら行く先のほうに桜並木が現れた。
日当たりがいい道路沿いだったので少し早咲きだった。

単純なもので不意に現れた桜が綺麗だと言う驚きだけで、急に元気が出てきてさっきまでの険悪さが嘘のようにおしゃべりが再開した。


今のようにどこで何があるかSNSで全部知っているわけでもないので何を見ても驚く。
昭和の女子高生なんて単純そのもので、歩いていて綺麗なものを見れただけで来たかいがあったとまたテンションが上がってきた。
急に歩くのが楽しくなる。


すっかり仲直りし、足が痛いねと励まし合いながら更に1時間近く歩き
途中何回も道を人に訊ねながら、私たちにとっての都会の街に到着した。

このことを娘に教えたら、
国語のテストによくあるこの時のお互いの心情はどう変化したかという文章問題に出てきそうな二人
そんな風に言われた。

知り合いが日曜日に教会に行っていたのを思い出し二人で行ってみた。
空いている席に座ってジンジンする足を休めた。
ステンドグラスを眺め見よう見まねで賛美歌を歌い、眠気を我慢しながらおいのりをした。



あまりにも足が痛くて足を見たら両方のかかとがずるむけで血で靴下が真っ赤になっていた。


そのあと痛い足をびっこを引きながら当時はイケてたアーケード街を一軒一軒見て歩く。
お金がないので買えるわけでもないが服を見ながら足を引きずり歩き回った。
その後、自分の街にはない憧れのケンタッキーを食べてミスドを食べた。
夕方、一時間に一本の汽車に乗って二人で爆睡しながら揺られて帰った。

懐かしの街での暮らし。




今年から我が家は私が女子高生だった時に足を血だらけにし友達とケンカしながら歩いてきた
当時は憧れだったあの街に住んでいる。

ごちゃごちゃと色々な店がひしめき合っていたアーケードの通りもすっかり変わり
区画整理で道幅は広くなり店も減ってしまった。
私の知っているあの街はなく初めて来た新たな街に暮らしているかのようだ。


どこの街も多分そんなものなのだろう。



今日朝一番で自転車のパンクを直しに行った。
久しぶりに乗る自転車は気分がいい。
いい天気の中走っていたらあの時歩いたルートを自転車で辿ってみたくなった。


あの時とは逆に生まれた街を目指してとりあえず行ける所まで行こう。
途中コンビニでパンと飲み物を買ってひたすら自転車で走った。



当時にくらべて随分道路も新しくなって走りやすい。
険悪ムードを一気に助けてくれた桜並木も古木になって変わらずそこにある。
普段車で通っている道を自転車で走ると景色が見れる。


30年以上前に歩いた道路をおばちゃんになった私がガンガン自転車でぶっ飛ばす。



ちょうど半分くらい、8キロほど走った。
昔は田んぼしかなかった場所に綺麗な公園ができていた。
東屋に座ってパンを食べることにした。

高校生のあの日。
あたり一面田んぼだったこの辺を歩いている時は、自己中に怒って無口になっていた。
そのあとの人生で色々なことが待ち受けているとは思いもせずにいた。

何年もの間ずっとずっと封印していた生まれ育った街へ向かう道。
知り合いのお葬式があったりで何度かは通っていたが、じっくり見るのは数十年ぶりの景色。

夜逃げ同然でトラックで通ったのはあれは何年前だろう・・・
急な思いつきで半分まで来たが正直なんの感慨も感じない。


どうでもいい事は人は時間と共に忘れて何も感じないように出来ているみたいだ。

kanahebijiro.com


なにか若い頃のヒリヒリした気持ちや心のどこかに痛みを味わうんだろうかと、どこかでそれを期待をしていたようだ。拍子抜けするほど何も感じない。
感傷にふけるのがまったく似合わない青空。
いい天気だというだけでめちゃくちゃ気持ちいいし公園で食べるパンがやけにおいしい。
単純なところは女子高生の時とあまり変わっていない。

再び残り8キロ先を目指して走り出した。

パンを食べたら一気に元気になって走りはじめてから気が付いた。


どうもこぐたびに自分のお尻がヒリヒリしているような気がする・・・
再スタートしてから気のせいだと無視していたがやばいような気がした。
お尻がズルむけになるのは困る。

大きくUターンして今来た道を引き返す。

あの頃と変わったのは無理しないで引き返せる冷静な大人になったことかも知れない。


やはりお尻は少しだけシャワーが滲みた。

ハイボールを飲みながら豆を食べていたら夕焼けがすごいきれいだよと娘に言われ窓際に行って見た。
夕焼けは生まれてから何回も見ているからか、なにか懐かしい気持ちになる。



懐かしさ。



今50代でこの街に暮らすことになったのも、思う存分懐かしさを味わうためなのかもしれない。



お尻をもっと鍛えて今度こそは、あの時歩いた道を車ではなく自転車でゴールまで行ってみたい。
懐かしさが街のどこかに残っているか
昔嗅いだ懐かしい匂いがどこかからするのか。
その時自分がどんな気持ちになるのか、とても興味がある。

でも今度は往復。
30キロ以上ある。
でも歩くわけではないからあんがい余裕な気もする。

足腰を鍛えお尻の皮膚も強くするために、近場の激チャリトレーニングからだ。
今密かな野望を燃やしている。






ココ