母について

チキンと一緒におめでとうで皆浮かれる日。

寝っ転がる女性母について

クリスマス。

サービス業ばかりしていた若い頃はイブは必ず働いていた。
今より景気も良かったし世の中が気持ちよく浮かれていたのでクリスマスは一番の稼ぎ時だった。


アパレル店員だった。
イチャイチャカップルや、プレゼントを買う若者や家族連れに1日中接客した。

時には若者達をピエロのように笑わせ、プレゼントを選ぶ内気な高校生男子には真剣に出会いからの馴れ初めを聞き出し相談にのる。

ノリとテンションで喋り続け働き、疲れ果てて能面のような顔で母の待つアパートに帰った。

クリスマス?なにそれっていう心境。



ただいま。
あー疲れた。

服が売れるように自分もオシャレをしているのだが、その格好のまま居間にゴロンとだらしなく横になった。
疲れすぎてなにもしたくないのだ。

まくらがほしかったが取りに行くのがめんどうで持っていた革のリュックをまくらにした。

寝転んだままテレビを見ていたら母に聞かれた。


唐揚げ食べる?

食べますとも!

食べようとして起き上がった瞬間。
耳に激痛が走った。


痛たたたた。


耳にしていた輪っかのピアスにリュックのファスナーがうまい具合に入り重たいリュックが耳からぶら下がっていた。


なになになにどうした?

急に叫んだ私に母はパニックになり、理由がわかった瞬間に吹き出した。

早くどうにかして欲しい私の横で転がって大爆笑が止まらないのだ。

シュールすぎる状況に耐えられず、床を叩いて笑っている。

ピアスからリュックを外そうにも、笑いすぎて手が震えやり方が荒くて耳がちぎれそうだった。
絶対無理、私には出来ないの一点張りだった。


あの時は一生耳からカバンをぶら下げて生きていかなければならない覚悟を少しだけした。


何十分も笑い続ける母。

結局。



弟が帰るまでのずいぶん長い間、私は耳からカバンをぶら下げて寝転んだまま唐揚げを食べた。
母は何分たっても笑いやまず、助手のように私に唐揚げを手渡しコーラのコップにストローまでさして持ってきた。


クリスマスは世の中が浮かれるんだろう。
あの時、サンタはプレゼントに笑いの粉でも我が家にまいてくれたんだろう。
サンタさんありがとう。



今日はどんな日クリスマスになるか。


ココ



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