父について

流れる感覚。父とおなじギャンブラーの血

父について

子供の頃。

父と出かけた思い出をふとしたひょうしに思い出した。
小学校の低学年の頃だろう。

耳が痛くなるくらいうるさい店内。煙草の煙でのどが痛い。
もう何時間も前からその場所に飽き飽きしている。
店の床は真っ黒で銀色の球が落ちている。
銀色の球を拾ってはポケットに入れてある程度たまると父に届けに行く。
決して楽しい遊びではなかった。


父の耳の穴にはパチンコの玉が入っていていつもなぜ耳にいれるのか不思議に思っていた。
のどが渇くともらった小銭でびんのジュースを買った。

ミリンダのストロベリー。今は存在しない昭和の人気だったジュースだ。
自販機に栓抜きがついていたがうまくできなかった。

何時間もたっているのにいっこうに父は帰ろうとしない。
お腹がすいてきたしつまらない。

またある時。


たくさんの人がいる屋外で舞い上がる紙切れを拾う遊びをしながら待つ。
たくさんのおじさんが耳に赤いペンやら鉛筆を指して新聞片手に同じ方向を見ている。
なにをしているんだろう。また紙切れが舞い上がった。拾いに行こう。

まじめゆえにのめりこむ性分。

そんな父は若いころ本当にまじめだったらしい。無趣味でどちらかというとつまらないタイプ。



あまりにつまらないので
ある時友人が連れていったはじめてのパチンコで猛烈に勝ってしまった。
また違うときに連れていかれてたまたま買った馬券が万馬券になってしまった。
宝くじも結構な金額が当たったこともあった。


恐ろしいほどの様々なビギナーズラックが重なって、まんまとギャンブルへとのめりこんでしまったようだ。

時代もあったのかも。

私をギャンブルに連れて行ったあと、父が隠していても必ず母にばれて喧嘩をしていた。
当時のパチンコ店は床が真っ黒で、家に帰ったあとの私の手も独特の汚れ方をしていた。
ポケットにはパチンコの玉がはいっていた。
たくさん紙がおちている遊園地なんてないし、ただひたすら父を待っているだけの時間を母にうまく説明できるはずがなかった。

昭和のあの頃って信じられないくらいゆるく大人が自己中心的だった。
大半の今の家族は、いかに子供を楽しませるかに尽力するだろうが昔は違っていた。

お父さんという大黒柱は一番に偉くどうであれ逆らうことなど許されない存在だった。
なにしろお金を稼いでいるのだからえらいのだ。

それでも理性的で、家族の幸せを中心に考える賢明な父親の家庭もあっただろうが我が家は違っていた。ほどほどに楽しむくらいですんでいればこんな事にはならなかったのだろう。

アリとキリギリスのキリギリスそのものだった父。
アリとキリギリスの実写版を数年に渡って見せられた。
その主演を演じてしまった父がすこし哀れに思う。


でもその父も昔はアリのように働き者だった時期があるという。
夫婦で少しずつお金をためていた若い頃。
朝から晩までよく働くまじめな父だった。
あの頃が一番良かったと母は言う。

人は、なにがきっかけで人生の歯車が狂いだすのだろう・・・




そんな父の娘である自分にもアリの部分と、確実に強烈なキリギリスの要素がある。


ギャンブルは嫌いと言いながら、なにかを当てたい腹の底にある危険なきもち。
普段は善良な顔で過ごしているが、
「ええい、めんどうだどうにでもなれ。」
「こんなものどんどんやってしまえ!」とか「買ってしまえ」


そんな自暴自棄と大胆が混ざった父に似た性格は遺伝なんだろう。
なにかにのめりこみそうな自分の危うさや、ギャンブラーの濃厚な血。

20年以上前、死ぬほど父を責め、ゆるさないからと別れて以来会っていない。
そんな父と自分に流れる同じギャンブラーの血にどうしようもなくおびえている。



そしていつか父に会って自分がどれだけ似ているか確かめたい自分もいる。

                     ココ

コメント

  1. ココココ より:

    スーパーで見ないようなチョコとかありましたよね。
    懐かしいです(‘ω’)ノ

  2. 匿名 より:

    私の父もパチンコ。競輪。
    やってました。昭和時代の父は
    みんなそうなのかな?!って。
    子供の頃パチンコ景品の外国チョコ
    懐かしい😄
    でもその時あたしパチンコ景品とは
    思ってなかった
    懐かしい思い出。久々父を思い出したよ!

  3. ココココ より:

    あれはきっと誰もがはまるようにできているのだと思います。
    私もきっとやればはまっただろうなと自信があります。

  4. スティンガー五郎 より:

    私も昔パチンコにハマった時期がありました。
    ビギナーズラックだったんですねぇ・・・・・。
    しばらくして我に返り、それからもう行っていません。

    パチンコで蔵を建てた人はいないんだよ!
    と、今でも我がマッマは口を酸っぱくして力説しております。

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