ココからのブログ

昭和生まれの50代ココです。

15年ぶりにあけた瓶の中。


あった!


誰もいない午前中の自宅。
思わず出てしまった自分の声がやけに大きく響いた。
驚いた。


タイムカプセル



ずっと見える場所に無造作に飾っていた瓶。
中に過去のライブのチケットとかよく分からないキーホルダーが雑然と入っている。
思い出のつもりで飾っていたけど中身は捨てていいガラクタばかりな気がした。
何が入っているのかひととおり見てから断捨離しようと思った。
全部外に出してみたら、15年以上前になくした指輪が唐突に出てきた。

無意識なのか
意図的になのか
きっと15年前の私が瓶の中に指輪を入れたのだ。
入れた記憶は全くない。





手に取ってみると内側に文字が掘ってあった。
字が細かすぎて見えず老眼鏡をかけた。





Joy
Love
Happiness






なにを思って掘ったのか・・・
気恥ずかしくなるような若さ。
エネルギーのある15年前から届いたメッセージ。
まるでタイムカプセル。




当時CDショップで夫が視聴して買ってきたmimiというソウルシンガーの曲のタイトルだった。
YouTubeでもう一度聞いてみたらめちゃカッコいい。




 



なくしもの。



結婚するときにもらった婚約指輪は一世一代の夫からの贈答品だった。
仰々しくてつけることなくしまってある。
将来おそらく私の形見となるであろう唯一の財産。



指輪はそれしか持ってなくてずっとしていなかったが、15年前にネットで普段つけれる指輪を買うことになった。
夫が職場でなぜ結婚指輪をしないのかと聞かれ、どうやら普通はするものらしいから買うということになった。

今なら人に言われたくらいはスルーだろうが当時はあんがい気にしいだったのだろう。
かといって宝飾品を買い行くのもたいぎなので簡単にネットで買った。




今思うとあれは相当にインチキなネットショップだった。
プラチナという鑑定書もあやしいものでたぶん嘘だ。
綺麗だったのは最初だけでやけに色がくすんでいたし、つけているうちに傷だらけになった。
指輪が合わなくなっていつも指でくるくる回っていたし、形がいびつに歪んできた。
おまけに偽プラチナのせいで肌の弱い私は金属アレルギーになって指が荒れた。

しばらく指輪を外していたら置いた場所をすっかり忘れてしまった。
結局私はそれ以降指輪をすることはなく、夫は15年たった今でもその指輪をずっとしている。

すっかりその存在さえも忘れていた指輪。

指輪は15年で何回も引っ越しをしながら、瓶の中でずっとずっと共に暮らしていた。



引っ越し人生。



昔から私は同じ家に長く住めない。
つくづく住居というものに縁のない運命のようだ。
高校の時は父の建てた家に私だけ祖父と暮らし、家族はそこに住まずに火葬場の管理人をしていた。
結局父の建てたその家は全員で住むことなく人手に渡った。
20代で一人暮らしをしてもアパートの部屋に見知らぬ男が入ってきて騒ぎになり退去せざるを得なくなった。違う部屋を借り直してからも、都市計画が急に早まって一年しないで立ち退きになった。
結婚してからも引っ越し大名のような暮らしをしてきた。



この年齢になると周りが家を建てるかマンションを購入して落ち着いた終の棲家を手にいれる。
居心地のいい自分の家は心底羨ましい。
でも自分が一ヶ所に定住する光景がいまだイメージ出来ない。
なんだか私の運命のせいでこのまま定住しない人生に夫を巻き込んでしまうのではないかと思えてくる。



老後は車中泊で知り合いのいる県を訪ねながら暮らしてみたいなんてしょうもない事を想像する。
でもそれも最後に帰る家があっての事だ。


50代になってもそんな考えなんて、つくづく落ち着きのない人生だが
今はこれでいいと思っている。



縁の不思議さ。



住居運は皆無な私だが、出会い運だけはつくづく恵まれている。
いつもまわりの人に助けられてばかりいるので、感謝してもしきれない。

いまだ精神が中二病なので、周りのちゃんと年相応に大人になった人に助けられてきた。

人ってほんとうにみんな努力ができるし、継続ができるし、自分をしっかり持っている。
ところで私はいつになったら大人になるのだろう。

kanahebijiro.com





何度も人と出会っては別れるを繰り返して最近になって気がついた。


出会うことになっている人とは特別に努力しなくても会える。
目に見えない不思議ないたずらを仕掛けられたかのように、偶然つながる関係。
なにかのめぐりあわせで知り合った人。
友だちと別の友だちがつながっていたり。
一旦途切れても縁のある人とはいつか必ずもう一度つながる。


Joy
Love
Happiness


15年も瓶の中でじっと待っていた指輪のように、
相手の幸せを願って待っていればいい。


心配しなくてもいつか必ず会える。
そしてこの出会いこそが一番の財産なのだと思う。



              ココ