ココからのブログ

昭和生まれの50代ココです。

自分はみんなに笑われているのか?母のことば。

いい加減忘れればいいのに。
記憶というのは相当にしつこいものだ。

人の目ばかり気にしている母。

母は常に世間の目を気にして暮らしていた。
「みんながお前のことをわらってたよ」「人にわらわれないようにちゃんとしなさい」
母の口からこのような言葉が多く出た。そのたびに自分はわらわれて当然の人間のように思えどんどん自分に自信のない人間が出来上がっていった。

父は四六時中パチンコに通い景品のガムやチョコレートを私に与えていた。私がそれをもらうのはどちらかといえばパチンコに負けているときが多かったようだ。
洋酒ガム、バタースコッチキャンディー、チョコレートそんなものを夜中布団の中でこっそり食べたら一気に虫歯になった。

子供の虫歯は母親の責任。真面目な母は悔やんだようだ。

乳歯の失敗以降 、母は以前にも増して歯磨きに厳しくなった。

小さい頃から厳しい母の監視できちんと歯磨きして寝ていたので、虫歯になったのは布団に夜中放り込まれる父のパチンコの景品のせいだったのだが、とにかくリベンジに燃えていた。

母の努力の甲斐あって私の永久歯は小学校6年生で地域の歯の健康優良児に選ばれた。母はその賞状をずっと家の中に張り誰か来るたびに自慢していた。子供心にもあまり取り柄のない自分の唯一価値は歯なんだと思った。
キレイな歯並びだもんね。

そんな風に誰かに褒めてもらうたび母が嬉しそうに笑う。

私は笑っている母を見るのが嬉しかった。

気にしないで認めればいい。

子供というのは単純に大人が笑っているのが好きだ。
特に母親が自分のことで機嫌がいいのが好きだ。
母親は時に、子供を見ているようでいて世の中からみられる母親としての自分の評価を見てしまうのだろう。

子供にしてみればわらわれないようにしなさいと目を光らせる時の母親の顔よりは、それでいいと笑って見てくれる顔が数倍いい。

どうせどんなに目を光らせようが笑われる時は笑われるのだ。

親元を離れてからなんてひどいもんだ。

ケツが出そうなローライズジーンズ。
チンピラのような派手なアロハシャツ。
ボロボロで穴だらけの古着の501。
鋲だらけのライダースジャケット


個性を主張しまくり価値観の違う人からしてみれば、みっともなくて笑われるような格好をしていた。
どうせそんなことをやるのだ。

幼い子供にとって親の言葉は案外絶対的だし命令のようだ。
わかっていたはずなのに多分私も子供達が小さい頃は、真面目で目を光らせる母親だった。


呪いのような言葉。

「あなたの事をみんなが笑っている。わらわれないようにしなさい。」

そんな言葉より、そのままで全然大丈夫、誰も笑っていないよ。自信を持っていけいけ。
これからはそんな風に言ってあげたいと思う。ことばのリベンジだ。

ケツさえ隠れていたら大丈夫。誰も笑ってない。

それと人が自分を見て笑っているのは、そんなに嫌なことではないと最近私は思う。

ココ