ココからのブログ

昭和生まれの50代ココです。

半裸でパニック。コロナめ!

最近、コロナが過去の出来事のようになってきていた。
さすがに心配性の私でさえも初期の得体のしれない怖さは消えてきた。



去年、夫がコロナになった時は保健所や病院に電話をかけてもずっと話し中で、検査さえも発症してすぐには受けられなかった。
夫は色々な後遺症があったのでやはりコロナは普通の風邪とはなにか違うと感じた。



今年になり人と話すとコロナにかかった人も周りで増えてきた。
無症状やすごく軽い人もいるから、症状の重さにも個人差があるようだ。

5月から5類になってインフルのように普通に診てもらえるようになるらしい。


町も以前のように活気が戻ってきて、様々な制限がなくなってきたのは嬉しい。
私もジムや散歩などマスクを外す機会も増えてきた。
末っ子の娘を見てもこの3年間を取り戻すかのように行動範囲が増えている。

楽しそうでなにより。
良かったと思う。

反面。


それは確かに心からそう思うのだけど...
でも小さいときに心臓の手術をし元気だけど色々心配な娘。

コロナには絶対にかかって欲しくない。

家族が心配でコロナが不安
一気に開放的になって大丈夫なのか?


この不安が未だに拭えない人もけっこう多いと思う。


だがついにその不安がやってきてしまった。

ついにきたか。

発症0日目。

普段はまったく鳴らない私の携帯が鳴った。
出る前から嫌な電話な音がした。
娘の高校の担任の先生からだった。
喉が痛くて具合が悪いそうなので迎えにこれますか?


ガーン。

熱を測ると37、5度。
とりあえず寝る前に葛根湯を飲ませた。



1日目。

ネットで調べて朝一で電話をして発熱外来を申し込んだ。
コロナ検査のみ対応している耳鼻科で、電話を切ってからQRコードを読み取って予約を入れ
あらかじめ問診票を入力して送信する仕組みだった。
通常の外来が終わった正午に病院の駐車場に来て待機するように指示があり
すでに3台の車が同じように待っていた。
車内で検査をして結果は先生から電話で教えてもらう。
やはりコロナ陽性だった。
解熱剤や風邪薬は病院から連絡があった薬局の人が車に届けてくれた。
その後指定された番号にかけると薬剤師さんが薬の説明をしてくれた。
この街は今年から18歳まで医療費無料なので会計もなくそのまま帰った。


その夜は最高39.8まで熱が出た。
頭痛、喉の痛み、激しい倦怠感、咳。
解熱剤で下がっている間は、うどんやゼリーは食べれた。
見に行くたびに辛そうだった。



2日目。


朝。
9時くらいに娘を見に行くとぐっすり寝ていた。
今のうちにと思い、急いでシャワーを浴びた。
脱衣所でパンツをはいていたら、鏡にトイレのドアが開いているのが映っていた。

「大丈夫?」

娘に声をかけても返事がない。

嫌な予感がして急いで見に行くと、うなだれて頭が下がった状態でそこにいた。
ぐったりして完全に意識がない。


大声で何度も名前を呼んだ。
しばらくしたら意識が戻ったが顔がやけに真っ白でその場から立てない。

パンツ一丁で、パニック状態の私。
シャワーなんて浴びてる場合じゃなかった。
私につかまることも出来ないくらいぐにゃぐにゃになっている娘。
ただただ右往左往した。


とりあえず水を飲ませたら少し意識がはっきりしてきた。
娘はよろよろしながら私につかまってどうにか歩きベットに倒れこんだ。
パンツ一丁の母と、おしりを出したままの娘。

ベットの上で、普通に喋れてはいる。
でもこのまま家にいて大丈夫だろうか?


昨日検査した病院は耳鼻科だし、どこに連れて行けば診てもらえるか分からない。
心臓のかかりつけ医は50キロも離れた病院だしどうすればいいか分からない。
救急車を呼ぶのも気が引けるので悩んで消防本部に電話した。

「すみませんが病院に相談してください。」と言われた。

そりゃそうだろう。
焦ってトンチンカンな事ばかりする。

つぎに発熱外来の中で大きめの病院に電話したが
「すみませんがコロナの診察はしてないんです」と申し訳なさそうに言われる。



○○市、コロナ、入院
○○市、コロナ、点滴できる
○○市、コロナ診てもらえる病院

片っ端からいろんな言葉でググっても出てくるのはコロナワクチンの予約に関する情報ばかり。
この感じだと普通に小児科や内科に行っても帰されるだろう。

やはりいきなり救急車を呼んだ方が診てもらえるのだろうか?と悩む。

娘は「いい。大丈夫。このまま寝てる。」と目力のない真っ白な顔で言う。


あれあれ、コロナって5類になったんじゃなかったっけ?



地獄で仏に出会う。

立て続けに電話をかけたがすまなそうに即断られた。
3軒目の電話で去年インフルエンザで倒れた時に点滴をしてくれたおじいちゃん先生の病院に電話をしてみた。
電話に出た受付の女の人は一部始終をちゃんと聞いてくれて、先生に相談に行ってくれた。
そして電話口に戻るなり

「先生に聞いたら午前中に来れたら点滴してあげるって。落ち着いて歩けるようになってからでいいから連れてきていいですよ。」



ありがたい。
ほっとしてパンツ一丁で泣きそうだった。

大急ぎで服を着て身支度をし、ぐったりしている娘を連れて病院に向かった。
駐車場から電話をすると、そのまま入ってきてかまわないという。

看護師さんが玄関先で待っていてくれて、二階の奥の病室に案内してくれた。
改めてみるとそこは二階建てのすごくでっかい個人病院だった。
ベットに寝かせてもらい先生を待っていた。

おじいちゃん先生は前と同じでニコニコしながら入ってきた。


ムカムカしてない?
そっかそっかだいじょうぶ。
点滴やって帰れば元気になるから。
自律神経弱いから倒れやすいんだな。
針チクってするけど頑張るんだよ。




高校2年生の娘に、園児に対するくらい優しい口調で話しかけてくれる。


「あのね、減塩の時代だけど普段から塩分多目にとるようにね。」
「弾性ストッキングもいいよ」
「いきなり立たないでゆっくり休んでから帰っていいから。」
「体質は変わるし、コロナもあと少しで治るからあんまり心配しないで」


帰り際、普段の生活のアドバイスまでしてもらった。
このままどんどん悪化したらどうしようと怖くなっていた気持ちが一気に軽くなった。
パンツ一丁で途方に暮れて泣きそうだった数時間前を考えるとありがたい気持ち。

その夜。
娘はあいかわらず頭が重く喉も痛いようだったし、咳も激しかったが熱は38度台。
朝に比べると少しずつだが元気になってきたように感じた。




3日目。


朝になっても全然起きない。
超爆睡でひたすら寝ている。
コロナと戦った体はかなり消耗したのだろう。

脱水が怖いので何回か起こして飲ませた。
昼近くにようやく起きたら熱も7度台。
疲労感がかなりあるようだ。

でもよく喋るようになってきたのできっと快方に向かっているのだろう。
これはきっとコロナでは軽く済んだほうに入るのかもしれない。

でもあの時おじいちゃん先生が来ていいよって言ってくれなかったら
もっと回復までに時間がかかったかもしれない。



先生も看護師さんもいまだガウンとフェイスシールドで入ってきたし、
改めてコロナの感染力はそのままなんだということにも気付かされた。


それにしてもちょっと疑問が残った。
5類になっても簡単に診てもらえるわけではないのは、私の住んでる街だけなんだろうか?
切羽詰まって知りたいのは受診できる病院の情報なのに、大至急知りたいわけではないワクチンの事ばかりが先頭に出てくるのは、まじでムカついた。

まじでムカついた。
2回言うくらいに。

ハイリスクな基礎疾患がある人が待合室にいる小さな町の内科も
重い病気の人がいる大病院も、感染力の高いコロナは診たくないのだろう。

電話をしてから受診と書いていても実際は検査まで。
無理もないし理解できるが、この状況はちょっと不安だし国の偉い人は現状を知っているのだろうか?

コロナはまだちゃんと終わってなどいなかったという感想を持った。





「おかあさんパンツ一丁で動揺して動き回っていたの、今考えるとすげーうけるんだけど」
「ふん、そっちこそケツ出したままだったくせに」


こうして下品なことを言い合えるのは元気になってきたからだろう。

心からの感謝。

後からその病院の口コミを見たら、高評価の数の多さに驚いたし納得した。
ご夫婦でお医者様。
お二人とも温厚な人柄と腕の良さが評判の病院だった。
奥様の女医先生に病気を見つけてもらった人。
同じようにコロナで他で断られたがすぐ来ていいよと言われた人。
電話をかけた時、電話越しでも笑顔が想像できるような声の受付の方。
心配事をいつも笑顔で答えてくれる先生に安心をもらった。
先生のアドバイスが嬉しかった。

皆がたくさんの感謝のコメントをしていた。

また素晴らしいお医者様に出会った。
今後、相談できるかかりつけ医としてお世話になりたい。


そして医療従事者の方々には引き続き心から感謝しなければと思った。

                        

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