昨日は外がやけに寒かった。
夕方洗濯物を取り込んだらTシャツにとんぼが止まっていた。
パタパタと払ってもまったく逃げる気配がない。
仕方がないのでしばらく一枚だけそのまま物干しにかけて置いた。
すっかり忘れていて夜になってTシャツを家の中に入れた。
とんぼはもうくっついていなかった。
夜遅くお酒を飲んでいたら、ふと気がついた。
部屋の壁ににとんぼがいた。
いつからそこにいたのだろう。
Tシャツと一緒に入ってきていたのだろうか。
「寒いからからだが固まって動けなかったんだろう。
そのままにしておいてあげればいい。」
お酒を飲みながらとんぼをながめた。
今朝、早起きの夫がいつもよりさらに早起きしていた。
とんぼのかすかな羽音が気になって起きたようだ。
一晩泊まったちいさなともだち。
いきものが家にいるというワクワク。
とんぼは障子にぶつかりながら家の中を飛び、窓を開けると外に出たようだ。
せっかく外に出れたのに、とんぼは飛ばずにベランダのゴミ箱に止まっていた。
もう弱っているのだろうか。
「おひさまが出て体が温まると飛べるようになるよ。」
夫はそう言って仕事に行った。
昼にふとゴミ箱をみると、いつのまにかとんぼはいなかった。
飛べたようだ。
今日はあたたかい。
とんぼは今頃空を飛んでいるだろうか。
ココ