ココからのブログ

昭和生まれの50代ココです。

他人の期待にこたえるために生きなくてよい。

息子からたまに来るライン。
これ見ておいて。

M-1の予選だったりおすすめのお笑い芸人のYouTubeのリンク付。
普段は既読さえつかない息子。
見て欲しい熱い思いが伝わる。
ふと昨年末の事を思い出した。

無類のお笑い好き。

年の瀬はいつもなにかやり残したような気持ちに毎年なる。
そわそわがとまらない。

これはいかんと思いテレビを付けたらM-1が始まった。
それと同時に離れて暮らす息子からの通知が鳴った。

"M-1が始まりました。
モグライダーがオススメ
優勝して欲しいわー”


普段はやりとりがだるい母に連絡をするくらいだから相当の推しなんだろう。

この息子は小さい頃からお笑い好きだった。
小学校6年生で友達と漫才コンビを組んで、お楽しみ会では毎回盛況でかなり笑いを取っていた。
母から見てもなかなかのワードセンスだった。

将来は吉本だね。

いつも言われる息子だった。



この息子を見ているとふとした瞬間30年会っていない父を思い出す。
突拍子もなさや天然っぷりにどこか共通点があるのだ。


そこにしわがあるから。

高校生の時。



突然アイロンを買うと言いだした。

エクストリームアイロニングというよく分からないスポーツの同好会を作るという。
崖や滝に打たれたりしながらアイロンをかけるという競技があるらしい。

そこにシワがあるから

それがキャッチフレーズだという。

エクストリームアイロニングジャパンという公式団体があって、まだ競技人口が少ない。
なのでいいとこまでいけるかもというのだ。

困惑する母を尻目に大真面目だった。
くだらないものを買う買わないで口論した。

「断崖絶壁でのアイロンがけって・・馬鹿じゃないのやめなさい。」


妹は何を言い合っているのか訳が分からないという感じで、気まずそうにそこにいた。
今思えば私もなんでそんなことにむきになって反対していたんだろう。


本人が思いついた事をやるかどうか、
やめさせる権利なんて親にもないはず。

くだらないことでも価値観はそれぞれなんだと、
母親はつい忘れがちになる。




共通点。

昔。

私が小さい頃暮らしていた火葬場の敷地はかなり広く古い桜の巨木があった。
父はアルプスの少女ハイジのようなブランコを作ると言い出した。

縄の束を肩にかけて見ている方が足がすくみそうな木にどんどん登る。
皆が見守る中長いロープのブランコが出来た。
器用なのだ。

近所の子供達が乗りたいと騒ぐ。
当然娘の私が1番に乗せてもらえると期待する中、
大人なのに子供に譲る気ゼロの父が我先に乗った。

ミシミシ音をさせて立ち漕ぎする父。
調子に乗って勢いをつける。

早く乗りたい。


皆の羨望の眼差しの中。
縄がブチンと切れた。
父は物凄い勢いで数メートル先に飛んで行った。




私の父は孫である息子の存在自体たぶん知らない。
でも息子を見ていると確実に流れていると感じる父の血。
周りが口を揃え言う。
「息子さん面白すぎる」


休日思いつきで80キロをママチャリで出かけたり、急にボランティアに行ったり。
良くも悪くも突拍子もなく予想がつかない。




こんな息子に私は小さい頃から先回りばかりしていた。
夢中になりすぎる対象がギャンブルになって破滅してしまった父が頭をかすめた。



好きなことをやればきっとしあわせ。

父を思い出す時ふと思う事がある。
火葬場の仕事は祖父の勧めだった。
役場のしごとだったからだろう。



本当は父は左官屋になりたかった。
職人気質で意外に器用な父だからおそらくそっちのほうが向いていただろう。

そもそも道の真ん中で轢死した犬を無視できず持ち帰り供養するような父。
1番向かない仕事だったのではないかと今は思う。
だからたまらず酒を飲んでいたのかもと思ったりする。



息子は1人で考え進路を決めた。
遠い県の大学にはいり一人暮らしをしている。
おそらくこれからも親の意向どおりになんてならないだろう。
どこに住んで何になろうと構わない。
自分の人生だから後悔なく生きて欲しい。


立派と言われる仕事じゃなくても好きなことを見つけて欲しい。


息子からまたLINEの通知が来た。

M-1錦鯉が優勝本当に良かった。
でも俺のなかの優勝はモグライダーです。
母は?”

母はやっぱり50歳まであきらめなかった錦鯉が泣けました。

あれから一年たって、50歳でブレイクした錦鯉も
モグライダーも活躍している。



心からやりたい事がある人生は素晴らしい。
つくづくあきらめないって凄い。


     ココ