子育て

他人の期待にこたえるために生きなくてよい。

子育て

年の瀬はなにかやり残したような気持ちに毎年なる。テレビをつけると悲しいニュースばかりでなんだか気持ちがズドンと落ちてきた。

これはいかんと思いチャンネルを変えたらM-1が始まった。それと同時に普段はLINEをしても既読さえなかなかつかない離れて暮らす大学生の息子からの通知があった。

“M-1が始まりました。
モグライダーがオススメ
優勝して欲しいわー”


普段はやりとりがだるい母に連絡をするくらいだから相当の推しなんだろう。

この息子は小さい頃からお笑い好きだった。
小学校6年生で友達と漫才コンビを組んで、お楽しみ会では毎回盛況でかなり笑いを取っていた。母から見てもなかなかのワードセンスだと思った。

将来は吉本だね。

いつも言われる息子だった。



この息子を見ているとふとした瞬間30年会っていない父を思い出す。
突拍子もなさや天然っぷりにどこか共通点があるのだ。


休日。
突然自転車で往復80キロ以上の距離をなんとなくで出かけてきたりする。
突然アイロンを買うと言うのでわけを聞くと
エクストリームアイロニングというよく分からないスポーツの同好会を作るという。
崖や滝に打たれたりしながらアイロンをかけるというマジで耳を疑う競技があるのだ。

そこにシワがあるから

それがキャッチフレーズだという。

エクストリームアイロニングジャパンという公式の団体まであり、まだ競技人口が少ないのでいいとこまでいけるかもというのだ。

困惑する母を尻目に大真面目なのだ。どのアイロンを買うか、くだらないものを買う買わないでマジで口論した。



いけるとこって何?!


昔。

私が小さい頃暮らしていた火葬場の敷地はかなり広く古い桜の巨木があった。父は突然アルプスの少女ハイジのようなブランコを近所の子供達に作ると言い出し縄の束を肩にかけて登りだした。見ている方が足がすくみそうな木の上で縄をかけ器用な事にブランコが出来た。

周りに集まる子供達が乗りたいと騒ぐ。当然娘の私が1番に乗せてもらえると期待する中、父が1番に乗った。
大人なのに子供に譲る気ゼロなのだ。

ミシミシ音をさせて立ち漕ぎする父。調子に乗って勢いをつける。

すげー。早く乗りたい。


皆の羨望の眼差しの中。
縄が切れ父は物凄い勢いで数メートル先に飛んで行った。

重すぎだし漕ぎすぎ。
大人なのに。

私の父は孫である息子の存在自体たぶん知らない。でも息子を見ていると確実に流れていると感じる父のような血。
周りが口を揃え言う。
「息子さん面白すぎる」

似てんだよな。


こんな息子に私は小さい頃から先回りばかりしていた。心のどこかで父のような危うい大人になって欲しくない不安があった。夢中になりすぎる対象がギャンブルになって破滅してしまった残念な父が頭を掠めていた。



父を思い出す時ふと思う事がある。
火葬場の仕事は祖父の勧めで本当は左官屋になりたかった。職人気質があり意外に器用な父だからおそらくそっちのほうが向いていただろう。

そもそも道の真ん中で轢死した犬を無視できず持ち帰り供養するような父にとって、1番向かない仕事だったのではないかと今は思う。

若い方が亡くなると待ち時間に一緒に泣くこともあったような父だ。だからたまらず酒を飲んでいたのかもと思ったりする。



息子は1人で考え進路を決めた。
遠い県の大学にはいり一人暮らしをしている。
おそらくこれからも親の意向どおりになんてならないだろう。どこに住んで何になろうと構わない。
自分の人生だから後悔なく生きて欲しい。


息子からまたLINEの通知が来た。

”M-1錦鯉が優勝本当に良かった。
でも俺のなかの優勝はモグライダーです。
母は?”


錦鯉50歳で優勝素晴らしい。
泣きました!



心からやりたい事がある人生は素晴らしい。あきらめないって凄い。


ココ

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