戦場では子供の泣き声が聞こえなかった。
花も咲かなかった。
保健と看護にその生涯をかけた花田キミという女性の生涯を描いた映画の終盤で出てきた台詞。
戦争と感染症。
繰り返す歴史。
子供の声が聞こえ、普通に町を歩けて、春には花が咲くという当たり前が、いかに幸せなことなのか
。
つい忘れそうになる。
じょっぱり、看護の人 花田ミキ
映画館で久しぶりに泣いた。
上映が終わって監督の舞台挨拶で聞いたエピソードを聞いて、再び泣けた。
監督が幼い頃、列車の中で高熱で呼吸が止まり、たまたま居合わせた保健師の花田ミキさんの適切な対応によって、列車を停め自衛隊のジープに乗せて病院へと搬送され命を取り留めた。
幼少期に命を救われた監督は、コロナ禍を経験した今だからこそ、保健衛生と看護に、人生をかけた花田ミキさんの人生を描くことにしたという。
それは医療従事者の方々へのエールも込められている。
花田ミキさんは、従軍看護婦として戦場へも3度渡り、仲良くなった兵士たちが、治療によって回復すると再び戦場へと送られ、命を落とすという現実を目の当たりにして苦しんだ。
戦争で死ぬために看護をしたわけじゃない。
愚かな戦争は、何度も繰り返され、いまだ途絶えることなく続いている。
看護のひと。
映画の先行上映が始まるまでの間、ロビーで隣に座った保健婦だった方と少しお話をした。
「昔はね、伝染病になったら助からないことも多かったのよ。」
実際に経験されたお話を聞いてから、映画を見て、改めて保健衛生や、看護に身を削りながら
時には自分の時間も犠牲にしても、患者の為に尽力してくださる看護の人たちがいたということを知った。
本当に素晴らしい映画だった。
全国で上映されたら、たくさんの人に見てもらいたいと思う。
ココ
五十嵐匠監督(舞台左)とキャストの方々の舞台挨拶。
ひらたまさん(カタリスト代表)の晴れ舞台。
2024年7月2日㈫公開。