ココからのブログ

昭和生まれの50代ココです。

身につけたい丁寧に物事にむかうということ。

ていねいに。

 

 

 

 

 

 

50代になっても不器用は変わらない。



私の母は非常に手先が器用だし、父もそういえばなんでも作っていた。

良いことは遺伝してくれたらよかったのに、こればっかりはうまく行かないものだと思う。



なにかを習う場面で、一回聞いただけですぐにそれが再現できる人に憧れる。


ダンスの振り付けでも、折り紙の折り方でも、目的地への行き方でも、

一回では覚えられないし、慣れるのに時間がかかる。




「この人に、どうやって教えたらいいのだろう?」

 

たぶん、過去の色々な場面で、私にこんな風に思った人はたくさんいたんじゃないだろうか。

 

 

 

 

焦りと急ぐ癖。

 

「何でそんなに急いでるの?」

 


思い返してみると、30代くらいからそう言われることが多くなった。


いつもやらなければならない事に、追い立てられているような焦燥感。



自分が無能であると思われたくなくて、がむしゃらに動いて空回る。


役に立たないやつだと思われたくない。


職場によくいる、なんか落ち着かない人。



それが、主婦になってからの私の働き方だったような気がする。




以前働いていたスーパーで、勤務初日にまずは、はんぺんを品出ししてくださいと言われた。周りはめちゃくちゃ忙しそうで、早く終わらせてすぐ違うことも手伝わなきゃと焦った。
今思うと、初日からそんなに焦る必要なんてないのに、私の悪い癖で仕事が早い人と思われたいという余計な考えが頭にあった。

二個セットでつながっていて、真ん中にミシン目がはいったはんぺん。

それを勘違いして、ひと箱全部ミシン目を二つに切り分けて品出ししていた。
そんな事言われてもいないのに。


全部終わるころに、ふと見えたポップの文字の
二個セットという文字を見て、全身が冷や汗でゾッとする感じ。

勤務してまだ数分で、ここでの評価は終わったと絶望感で一杯になった。

 

 

すぐに謝りに行き、申し訳ないので、このはんぺんは全部買っていきますと言ったが、そんなことしなくていいからと笑って許してもらった。

初日は、家に帰ってからも、はんぺんの事を思い出すたびに、くよくよして過ごした。




「あの時、やばい人が入ってきたって思ったでしょ?」


チーフにそう聞くたびに、あの時の私を思い出すと笑いが止まらなくなると言われた。






彼も当時、まだすごく若かったはず。

やばいおばさんに、寛容な心で接してくれて、おかげで4年ほど楽しく働く事ができた。




 

 

 

若者からまなぶ。



 

今、清掃の仕事をしていて、息子といってもいいくらいの年の人に、様々な事を教わっている。

 

 

このくらいの年齢の時。

私はここまで人に気遣い出来ただろうか?

絶対できなかったし、自分の事しか考えてなかった。



覚えの悪いおばさんに、ゆっくり何回でも教えてくれるし、ミスを絶対に責めない。

 

仕事が出来るので、気持ちに余裕があるのだろう。

 



エアコンのような精密な、本当に一瞬の力の入れすぎで、壊れそうなものを扱っている時の集中力。
横で見ていて、毎回感動する。



受け取った細かいものを洗っている時に思う。


私がこれを、バッキバキに壊してしまったら、全責任が彼にのしかかるのだ。
そう考えると、めちゃくちゃ、気が引き締まる。

 

古くなって劣化したプラスチックなんかを洗っている時の緊張感。

落ちない一部分の汚れと格闘していると、うっかり全体重をかけそうになってヒヤッとしたこともあった。


力加減を間違えて強く持ってしまいそうな自分に、落ち着けと言い聞かせてゆっくり丁寧にする。




いかに今まで、スピード重視で、雑に物事をこなしてきたか。

 

 

仕事を丁寧にする大切さを、考えさせられる日々。

 

 

 

 

掃除から学ぶ。

 

 

掃除の現場では、専門の良く落ちる洗剤だったり、汚れをこする道具も様々なものが揃っているので、主婦にとってはちょっとワクワクする品揃えだ。





基本的には何をどう使っても良くて、任せてくれる。

ハードな現場ほど、やりがいがあって、限られた時間内にどこまで綺麗にできるか無心で作業をするのは面白い。

 

分からないときはこの材質に使ってもいい洗剤か?とか、ブラシを使っても傷がつかないか?とか、細かく聞きながら行うのだけれど、ここでもなるほどと思うことが多い。



しつこい汚れを激しい洗剤や、硬いブラシでゴシゴシ、力を入れて擦るというよりは、柔らかいスポンジや、タオルのようなもので、何度も優しくこする落とし方が圧倒的に多いのだ。


 

お客様の大切な家。


壁やお風呂、乱暴に扱って傷がつかないように、一番弱い洗剤や道具から試す。

 

ひたすら何回も繰り返しこすると、だんだん汚れが落ちて滑らかになっていく感じが分かる。

さわってみると、いつのまにか汚れがほどけて、つるつるになっている感覚。

 

根気よく時間をかけて作業をしていると、自分の心までスッキリする。


汗をかきながら、最後に綺麗になった現場を見た時の達成感。



なにかこう、一筋縄ではいかない人とか、しんどい親との関係だったり、うまくいかない事全般に通じるような感じ。

 


丁寧にゆっくりと、やさしく根気よく立ち向かう。



 

何事も焦って突っ走るより、結局うまくいくのかもしれない。








50年以上生きてきて、もしかしてはじめてかもしれないこの感覚。

 

 



 

時間をかけて汚れを落としながら、つくづく思う。




年下の人に、様々な事を教わる幸せ。



出会いは、すべてが素晴らしい縁で、何歳になっても目の前の人から学ぶことは多い。





                ココ