なんてことはない、ただの休日。
2年前から、面白くてはまったブログで、真似してやってみたいと思っていたこと。
城下町のどこからでも見える山。
いつもそこにあるのが当たり前の山。
山の麓の神社まで往復30キロを歩く。
実は、家を出た時は、軽い散歩のつもりだったが、天気もいいので挑戦することにした。
そこで、道すがら、まるでタイムカプセルを開けたかのような感覚を味わった。
久しぶりに感じる、シロツメクサのむせるような香り。
田んぼのあぜ道。
うるさいほどのカエルの声。
この先どうなっているのか行ってみたくなるような道。
昭和の学校からの帰り道は、よく道で犬と遭遇した。
犬が怖かった私はドキドキしながらも、つかず離れずの距離で共に歩いた。
怖いのだけれど、家が遠かったので少し心強いような気持ちもあった。
いざ、自宅について犬との別れの段になると、急に相棒がいなくなるような、離れがたい気持ちになった。
あんがい犬の方はすぐに、むきを変えて早足で立ち去る。
彼にとっては死活問題で、エサをもらえそうもない私なんぞ相手をしていられなかったのだろう。
当時、私にとって学校も日常生活も、もやもやすることがたくさんあったが、頭の中でとりとめもない事を考えながらひたすら歩く時間。
あれは、あんがい楽しかったような気がする。
あの頃、存在さえも知らなかった夫が、となりで無言で歩いている不思議。
無謀にも30キロをひたすら歩く。
じりじりと気温が上がり始めた。
すばらしいごちそう。
途中、塩飴を食べたり、やっと出会えた自販機で水を買い足したりしながら、なんとか神社に着いた。
神社の前の店で、その時食べたなんてことないラーメンとビール。
物を食べた瞬間に、足がジワーッとする感覚をはじめて味わった。
歩いてきたからこその美味しさだと思った。
2度と立ち上がりたくないと思うくらい足がだるかったけど、その店でだいぶ生き返り、折り返しがスタートした。
いつかリベンジ。
実は、最終的に、少し悔やまれる結果になった。
下り坂は登りよりもきつく、何度もバス停を見ながら歩いた。
「見るだけね。」
「タクシー拾うか?」
何度もこんなやり取りをしたが、そんなかっこ悪いことはしたくないし、山の中にタクシーなんか走ってない。
一体、なにと戦っているのかと思いながら、猫背で膝を曲げて歩く。
平気でスタスタ歩いている夫がうらやましい。
夕方、街中に入ってからは蓄積した疲れで、更に数倍きつかった。
途中、無常にもバスが横を通り過ぎて行ったが意地でも乗りたくないと言い張った。
そう思って頑張っていたのに、、
お城の前のバス停に着いて、時刻表を見るとさすが観光地。
10分おきに100円バスが走っていて、最終があとちょっとで来る。
「乗ったことないから、これに乗ってみるべ」
夫の一言で、駅までの2キロバスに乗ってしまった。
たぶん、バス停の時刻表を見た時に、すごく乗りたそうな、嬉しそうな顔を不覚にもしてしまったのだろう。
心を見抜かれてしまった。
悔しい。
けれど、バスに座った瞬間のあの足の幸せ感。
あれは忘れることが出来ない。
ズルをして、途中2キロバスを使った後、家までの道のりを、いかに100円バスが素晴らしい乗り物かについて熱弁しながら元気に歩くことが出来た。
結果、28キロのウォーキングとなった。
ただ、景色を見ながら、ただひたすら歩くのは本当に楽しかった。
足にマメが出来そうな雰囲気があるが、思ったより平気だ。
高校生の時、16キロ歩いた時は足が血だらけだったから、足も堅く丈夫になったのかもしれない。
これは帰りに電車を使える場所なら、20キロくらい歩いて行ける。
この達成感を味わえるなら、まだまだ歩きたい。
ただ、
ブログを見ると、そんなもんじゃないくらい歩いている。
100キロ!
凄い。
ココ