朗読劇のサークルに入ってから、声で表現する難しさを実感していて、プロの声優さんだったり、役者さんのセリフって凄いんだなと思うようになった。
生の声で、登場人物がどんな人間なのか想像できて、お芝居を見ているかのように感情移入し物語に没頭する。
この前、長女のところに泊まりに行ったとき、若手男性声優の朗読劇を
配信チケットを買って見せてもらった。
娘は、声優の朗読劇やイベントが好きで、よく友達と出かけているのだけれど、
ドラマリーディングをやっている私に、本物は凄いからいいから見て見ろと、前から話していた。
見終わって、プロの表現力と、内容の面白さに驚いた。
『文豪、そして殺人鬼』略して文殺
2019年の初演以来、同じ物語を、様々な声優により演じられてきた作品。
主な登場人物は3人。
どこか人を避けるようにして暮らす、小説家、菅 忠義。
となりに暮らす盲目の少年、一糸 朱知。
幼い頃の事故で、視力を失い、大家族の中にいても、兄弟にいじめられいつも孤独だ。
二人はいつも軽口を叩き合っているが、管はいつも朱知をさりげなく気遣う。
そんな二人が、フリーの記者、尺 光輝と出会い、3人はあっという間に仲良くなる。
前半、優しくて知的な菅と尺が仲良くなっていく会話が心地いい。
二人の真ん中でおどけながら、自分と同じようにいつも孤独な菅が、尺と仲良く笑っているのを聞き、喜ぶ姿が切ない。
管が自分の犠牲になっていると、心の中で思っているのだ。
盲目の朱知が、二人に少し甘え、肉を箸で口にいれてもらう。
まるでお父さんとお母さんみたいだと、ふざけ、笑い合う。
普段は甘える事のできない家庭にいる朱知にとっての、居心地のよい居場所。
居場所とは、物理的なものではなく、それは本当に些細な優しい気遣いのある人との時間。
聞いているだけで、その情景までが浮かび、どんどん惹きこまれていった。
だからこそ、後半徐々に物語が、不穏な方向に向かうにつれ、それぞれの心の奥に誰にも明かせずにしまってあった秘密に、感情が揺さぶられた。
いい人だと思っていた、尺 光輝が、どんどん残酷な本性を見せ始める。
菅にも、朱知にも、取り返しのつかない過去や
つき続けてきた嘘があった。
公式にあった、
それぞれの罪と罰に対峙することとなる。
という言葉。
物語は、最後とても暗く悲しい終わり方をする。
それぞれが罪だと感じていたことは、果たしてそこまで罰を受けるほどだったのか。
この物語の原案は、芥川龍之介の蜘蛛の糸がもとになっているらしいのだけれど、
だとすると、罪人は誰で、救いの蜘蛛の糸は誰だったのか、お釈迦さまは?等、色々な解釈ができるような気がした。
難しくて、分からなくて、何度も見返したくなる。
数年前の公演です。↑
私が見たのとは、違う内容の回です。
見終わってから、興奮しながら娘と、
あの場面はどういう意味か?なんて、
自分の考察を、早口でまくし立てた。
お互い、全然相手の話は聞いていない。
次の日も朝から雨だったので、アーカイブ配信をもう一度見直した。
それでも足りなくて、公演の音声を購入した。
びっくりするくらい飽きない。
数日後、CDが届くと思ったら、QRコードが書かれた音声カードというものが送られてきて、一瞬やっちまったかと思った。
コードを読み込んで、パスワードを入れて聞くものだった。
現代はこうなっているのかと、おばさんはびっくりしてしまった。
ここまで、人の心を揺り動かす声の演技。
やはり、プロは凄い。
特に、一糸朱知の役の声優、永野由祐さんに、はまってしまった。
これは、シリーズになっていて、九月には完結編の配信もある。
他にも、二つ聞いてない公演があって、できれば来年は生で見たい。
娘に、まんまとはまったな、と言われた。
ドラマリーディングの勉強にもなるので
他のも購入しようかと、メルカリを見まくる日々。
そういえば前に、オタクが経済をまわしていると、娘が言っていた。
推し最高。
公式よりお借りしました。
ココ