ココからのブログ

昭和生まれの50代ココです。

読書をやりなおしはたのしい。

恥っず。

 

 

 

わかりみが深いっていう最近の、わかもの言葉。

わかるわー。
みたいな感じだと思うのだが、うまい言い方だなと思う。

 

 

 

 

 

そういえば最近本を読んでない。

 

 

子供の頃、本はふわーっと読んでいた。
だいたい理解度25%程度ってところだ。


まったく賢くない子供だったが本が好きで、年の離れた従兄から譲られた本だったりそこら辺にある本をなんでも適当に読んでいた。
分からない文字はでたらめな想像で読み、くどくど難しくて好きじゃない場面は思いっきりすっ飛ばして読んだ。それは正直今でもそうだ。
だからこそガンガン読めたのだと思う。

いい加減な斜め読み読書ばかりしていたから、人が集まっている時に名作の話になってもどんな内容だったかきちんと話ができない事が多い。

大人になってからこれではちょっと恥ずかしいと最近は感じている。



理系で記憶力のいい息子なんかは人生で読んだ本の数こそ少ないが一冊一冊を事細かに覚えている。
そのほうがよっぽど本に対して誠実な読書だと思う。


 

 

 

 

 

最近は青空文庫のアプリで昔の本ならば無料で読めると長女に教えてもらった。

あと、YouTubeの本の朗読にもハマっている。
窪田等の声が素晴らしくて、夕飯の支度をしながら聞いたりしている。


それを聞いてようやっときちんと一冊読めたような本もある。
それでも名作に触れられるのだからいいし、どんな形でも良しとしている。

 

つくづく便利でいい時代になったものだ。


それにしても昔の作家の書いたことば。
なんであんなにわかりみが深いのだろう。



 

 

 

 

羞恥心のようなもの。

 




自分にもあった黒歴史のような感覚。
恥の感覚を主人公と共に味わう。



どちらかというと、そんな本が好きだ。

 

 

 

太宰治人間失格で有名な場面。


心の奥底に常に暗いものがある主人公。
学校ではいつもわざとおどけている。
その日も鉄棒から飛んでドスンとしりもちをつき
いつものように皆に大笑いされ自分も苦笑しながらズボンの砂を払っている。

あまり出来の良くない級友の竹一が近くに来て低い声で

「ワザ、ワザ」とささやく。

 

 

今のはわざとやったんだろうと見抜いてそれを言いに来た竹一。


その瞬間の正体が見抜かれた恐怖。

まさか竹一みたいなやつに見抜かれるとは。
わあっと叫んで発狂しそうな気配という大げさな言い回しがたまらない。



あーわたしもそんなところのあるこどもだった。
なんなら今でも・・・



竹一のような奴に指摘される。
「ワザ、ワザ」

 

 

なんで正体が分かった!

 

 

 

 

 


やけにわかりみが深い。



 

 

恥の感情といえばもうひとつ思い出す。

 

 

 

 

 

少年の日の思い出でエーミールが言い放った言葉もキツイ。


友人の標本箱の蝶を盗んでしまった主人公。
おまけに粉々にしてしまい取り返しがつかない。
謝りに行ったがエーミールは軽蔑したように言い放つ。


「そうかそうかつまり君はそういうやつだったんだな。」


 

 

 

そうそう、わたしもそういうやつだった。



子供の頃、習字教室での出来事。
正座で座る3人掛け長テーブルに座って書いていた。

書いたものを中央にいる先生のところに持って行って朱の墨で直される。
ぜんぜん怒らない優しいおじいさんの先生だった。


混んでいたその日。
教室の中、直しを待つ列で、私の目の前に100円玉が落ちてキラッと光っていた。
影になっていて誰一人こっちを見ていない。
瞬間的に思わずポケットに入れてしまった。

本当ならば、お金が落ちてましたと先生に届けるべきだろう。


ポケットの中の100円。
それがあるだけで、その後は先生の顔をまともに見れないような気持ちだった。
たった100円が心に重石のようにのしかかる。


落ちてたと素直に届ければ良かったのに、一瞬の欲でポケットにいれるのは盗みと同じだろう。

標本箱の蝶を盗んだエーミールと同じだ。


実はその後は覚えていない。

駄菓子屋かなにかで、つまらない物でも買ったのだろう。




自分が、すれっからしになってしまったような気持ちだけは鮮明に覚えている。

 

蝶を盗んだ主人公のように、エーミールに軽蔑されたわけではないのだけれど
子供の頃の一瞬の出来心と後悔。

自分を見損なうという事の辛さ。




「そうかそうかつまり君はそういうやつだったんだな。」



なにこの、ものすごいわかりみ。



 

読めなかった本もある。

 

 

 

次郎物語という本が好きだったが、あまりに次郎の疎外感や悲しみが辛すぎて5巻まである本の2巻までしか読めなかった。

特に1巻の次郎は小賢しく、わかりみが深すぎて先に読み進めなかった。

 

 

青空文庫アプリにあるので今度こそきちんと5巻まで読んで、次郎の成長を見たい。



わかりみ。




 

そんな文章が書ける昔の文豪たち。

やはり天才なんだろうなぁ。

 

 

 

             ココ

 

 

 

 

 

 


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