昔から、何か意にそぐわない事を言われた時に、まったく言い返せない。
言い返せないだけじゃなくて、相手の機嫌を損ねないように、ヘラヘラとそうかもしれませんねなんて思ってもいない言葉が、口から飛び出す。
そのくせ、いつまでも言われた嫌なことを執念深く気にするタイプだ。
だったら言い返せばいいのにと言われる。
正直、強気な人が怖い。
気が弱いのだ。
50代になった今更、なんでも言える性格に変われる訳がない。
考えてみると、言い返すと言うのは、瞬間的な反射神経のようなものがいる。
嫌です!
出来ません。
違うと思います。
代表的なこの3つが、全然言えない。
言えないけれど、呆れるくらいネチネチが止まらない。
ずっと、治したいと思っていた。
似ている性格。
我が家の長女。
幼い頃から、のんびりした性格で人と争うのが嫌いだった。
長女なので、厳しく育てたゆえの我慢強さもある。
なにも言い返さない。
忘れもしないのは、小学生の時に友達とおしゃべりしているのを、同じ部屋で聞くとはなしに聞いていた。
いきものがかりというあの有名なバンドの話になって、そのうち口論になった。
「いきものがたりだよ。」
「絶対に、が、た、り、だってば」
そう言って曲げない友達に対して、途中から娘はそうかもしれないねと言いだした。
前の日に、家族でいきものがかりという音楽グループの由来についてテレビで見たばかりだったのだが、ついに、そのことは言わなかった。
その場で勝っても相手に嫌な思いをさせるし、気まずいから言わない。
どうせそのうち間違ってるって、自分で気づくだろうし・・・
毎回、こんな感じなのだ。
人と口論するのが嫌いなのもあるだろうが、これだと悔しい思いをすることもあるだろう。
どうでもいい喧嘩だけど、
となりで見ていて、言えない性格が似てしまったのだなと、思った。
言えなくなるくらい、厳しくしてしまったのかしら。
心配な気持ちにもなった。
このことは、なんとなく今でも覚えている。
ま、いっかでいこう。
ネットで知り合って、やりとりをするようになった会った事のない友人。
言葉は、その人そのものを感じることができる。
並んだ文字。
その人は、驚くほど言い返さない。
誤解されていても、変なうわさを立てられても、悔しい想いをしても、言い返すどころか、言った相手の立場だったり、なぜそんなことを言ったのかを想像して、そのままにしている。
怒ってもいいのに、結果的に、自分を傷つけた相手を庇ってばかりいる人なのだ。
どうかしている。
読みながら、それがあなたの魅力なのだと伝えたいと思った。
おそらく私と同じで、とんでもなく気が弱いのかもしれない。
自己肯定感も低いのかも。
育ってきた過程で、複雑な感情を抱えすぎて、気持ちを飲み込むことが癖になってしまったのかもしれない。
でも、他人の価値観の違いを、否定してばかりで許さない生き方よりも
言葉を飲み込んでばかりで生きてきた人生って、いいじゃないと思った。
今までは思わなかったけど、言い返さないって
それは、弱さではなくて、強さなんじゃないだろうか。
たくさん傷ついたかもしれないけれど、その言葉には優しさが溢れている。
きっとこのままだけど。
私も、娘も、友人も、きっとこれからも言えないままだろう。
考えてみると、人はそれぞれ、価値観の違いがあるからこそ面白い。
言い返せない。
言い返さない。
ま、いっか。
あなたとは、違う考えだけれど、それぞれ好きなようにいこう。
おばさんになってきたからか、
この感じも悪くない。
そう、思うようになった。
ココ