うまれつきのおっちょこちょい。
物をなくすのが得意でいつも捜し物をしている。
持ち物全てに[iphoneを探す]みたいな機能が欲しい。
落ち着きがなくおっちょこちょい忘れ物もひどい。
そしてこれは完全に遺伝だ。
スーパーに自転車で行き、歩いて帰宅なんて日常茶飯事。
以前車で歯医者に行った時。
駐車場が満杯で仕方なく歩いて5分の図書館にこっそり停めた。
思ったより治療が早く終わり外に出たら気持ちのいい天気。
「そうだこのまま散歩だ。近頃運動不足だし。貴重な晴れを有効活用だ!」
気分よく川沿いや公園を歩いた。
わざと歩道橋を昇り降りして汗をかいた。
途中で飲み物を買いにスーパーに入った。
より負荷をかけてトレーニングになるよう飲み物を5本買いリュックに入れて歩く。
スマホを見るととっくに10000歩超えていた。
クタクタになって家に着いた。
けっこう運動出来て大満足の日だ。
今日は歩きすぎたから後はのんびりしよう。
家に着いたら駐車場に車が停まっていない。
は!車………
再び車までのウォーキングが始まる。
車を停めた記憶がすっぽり抜けていた。
友人はエピソードを笑ってくれるが 、家族は笑いながらもひいている。
少し怯えた感じになる。
うえにはうえがいる。
この感じは母もそうだった。
思い込みが激しく早とちりでおっちょこちょい。
本当にたまったもんじゃないっていうエピソードだらけだ。
ある日老舗菓子屋の前を自転車で通りかかった。
店頭に出した台に今日はカステラの切れ端が袋に入った物がたくさん並んでいた。
「あらー珍しい。買いたいわー」
用事の途中で急いで自転車を漕いでいたので寄らなかったがカステラは大好物だ。
戻ろうか迷ったが急いで用事を済ませた。
自転車を爆速で漕いで店に戻ったがあいにく完売だった。
あんなにたくさんあったのに!
こんな短時間で完売?
諦めきれずに店に入りカステラの切れ端まだありませんかと聞いてみた。
怪訝な顔で言われる。
そんなものうちの店では売ってませんけど。
老舗和菓子屋ではカステラなんて作っていない。
嘘だ。そんなはずない。
朝に見た。
たくさん台に並んでたのを朝見たんですけど。
しつこく食い下がる母。
よくよく聞いたら、そこのおばあちゃんが自分ちの漬物の準備で干していた大量の白菜だった。
「す、すみませーん。」
食い気味で言ったのが恥ずかしくて超特急で逃げ帰ったらしい。
見間違いにも程がある。
なんでしつこく聞けるのか信じられない。
受け継がれる遺伝子
数年前。
次女の吹奏楽の東北大会。
隣の県に行く前の夜。
お泊まりに浮かれまくっていた娘に言った。
「制服をかばんに入れるの忘れないようにね」
「はいはい分かってるってば、うるさいなあ」
喜び勇んで出発した次の日。
今頃リハーサルかなと思いながら掃除機をかけていたら先生から電話が来た。
「スカートだけ家に忘れてきたそうです。」
「なければ残念ながら出れないです。」
これはまずい…
「今から届けます」
掃除機をぶん投げて家を出て駅まで自転車を漕いだ。
汗びっしょりで新幹線に乗った。
となりの県に着き駅前でタクシーに乗り練習校の名前を告げた。
思ってたよりかなり遠くけっこうな距離と金額、痛い出費だった。
ギリギリの時間に練習校に着いた。
届けると同時に拍手が沸き起こり、1人だけセーラー服に下が短パンの娘がいた。
そして再びタクシーに乗って発表のある駅まで戻ろうと財布を見た。
お札が1枚もないではないか。
そこで思い出した。
少し前に節約主婦はキャッシュカードとクレジットカードをあえて持ち歩かない。
そんな今考えるとおかしな節約方法をどこかで聞いて真似して財布から出していた。
せめてクレジットだけでもあったら何とかなったのに。
余計な事に感化されたおかげで見ず知らずの土地で完全に詰んだ。
夫に電話をした。
「ならばせっかくだし演奏を見がてら迎えに行く」と言ってくれた。
隣の県まで来てくれるということになった。
ありがたい。
夫が仕事を片付けてくるまでの3時間。
練習校から発表の会場まで地図を見ると15キロあった。
とぼとぼ歩いた。
貴重な小銭で飲み物を買った。
スマホも充電がかなり危うい。
Googleマップの
東へ進めって言われても分からん。
なんで今日はじめてきた場所で東や西が分かるのかが分からない。
太陽や影を見るのだろうか?
原始人じゃないから分からない。
多分ものすごい遠回りで駅伝並みの移動をした。
本番は睡魔とのたたかい。
「おい、そろそろ演奏はじまるよ。起きろ!」
夫にこそこそ声で起こされた。
足を引きずるくらい歩き、疲れすぎてよその学校の演奏を聴きながら
席で爆睡してしまった。
すんません。
これは全部遺伝なんで許してください。
ココ