何日か旅行などで家を空ける時、大半の人は家を片付けるだろう。
疲れて旅先から帰った時に家が片付いて綺麗だとゆっくりくつろげるし気持ちがいい。
あとは、万が一なにかあって不幸にも戻れない事態になった時、
家族以外に雑然とした家を見られたら恥ずかしい。
でも母によるとそれはぜんぜん違うと言う。
そもそも準備が縁起でもないというのだ。
いい機会だからと大掃除並みに片づけている私を見て
「なんでそんなに気持ち悪い事をする。そんな事はぜったいにやめれ」
と言う。
どうせなにかあって家の中を見られても、そこに自分はいないのだから恥ずかしくない。
雑然としてるのが家というものだし恥をかいたり迷惑をかけてもいいじゃないかという。
おまけに変な事を言っていた。
旅行に行く時はいているパンツを脱いで洗濯かごに放り込んでから出発しろという。
残してきたパンツを他人に見られたら恥ずかしいから慎重に行動するし無事帰ってこれるらしい。
だから片づけすぎちゃダメらしい。
どこかで聞いたのか、もしかしたら母のオリジナルのおまじないなのかもしれない。
そんな馬鹿なと思う反面どこかで一理あるのかもしれないという気もした。
そういえば夫は数年に一度職場で団体で京都に行く用事がある。
行く前に脛巾はき(はばきはき)という無事を祈る出発式をする。
どこかに出かける時無事に戻れるかどうか分からない昔の風習で、要は飲み会で
旅から帰ると脛巾脱ぎ(はばきぬぎ)という飲み会もある。
願いが込められた色々な儀式やおまじないは面白い。
そういう年もある。
今年は年明けから娘が越境受験をしたり、春は引っ越しもあって慌ただしかった。
転勤族なので引っ越しは慣れっこで余裕だし好きだと思っていた。
だが、忘れていたが前の転勤より確実に年は取っている。
そしてバタバタが落ち着いた頃。
謎のメンタルの不調が襲ってきた。
やる気はあるのに気力が追いつかず、一体なんなんだって感じだった。
更年期ってこんな風になるんだぁと半ば他人事のように感じながら、
筋トレをしたり食生活を変えたりしてどうにかやり過ごす日々。
元気になってきた、全然いけるかもと調子に乗りかけた頃、郵便受けに封筒が届く。
そこには少し前に受けたがん健診。
一か所要精密検査があった。
働いていた頃に受けた健診でも何回も引っかかったし正直そんなにびっくりでもなかった。
「あららーやっぱり」
って感じだった。
でも。
こういう通知は自分の事より家族の事のほうが憂鬱で深刻に感じる。
夫に見られなくてよかったとつくづく思った。
あまり何日もドキドキしたくないのでこっそり予約してさっさと検査に行った。
結果としては、べつに深刻なものではなくよくあることで、
念の為に半年後にもう一度検査はするが普段通りに暮らしていいという事だった。
とりあえず一安心。
なんだか不思議なのだが、今回封筒の中を見たときにやっぱりなと思う自分がいた。
きっと今年はこういう年なのだ。
禍福は糾える縄の如しというが、いい事ばかりあるとかえって怖い。
順調続きじゃないほうがいい。
くるまをこする。ものをおとす。なくしものをする。ちょっとしたけが。
気をつけてのサイン。
ちょいちょい生活の中にへこむことがあったほうがきっとバランスがいいのだ。
良くない事のつぎは、いい事がある。
カッコつけてはみたが。
私は想像力豊かおばさんだ。
検査の前の日。
もしも。
結果しだいで、すぐに入院などというややこしい事になった時をいろいろと考えた。
性格がせっかちなので緊急終活をした。
終活と言っても悲壮感に溢れ、さめざめ泣きながらやっているわけではない。
大急ぎで、ややこしくて夫が把握できないものを減らすことにした。
アマゾン定期便で買っていて夫が停め方が分からないものをやめたり、
通帳に暗証番号をじかに書いたり、ファイルにだいじなものと書いたり
自分だけが使うID,パスワードの類いはサイトを退会して減らした。
0点の答案やエロ本を捨てる男子高生の感覚にも似てると思う。
だいぶ以前、なにかで入院した時にタオルを持ってきてと頼んだら
家で一番しょぼい雑巾みたいな煮詰まったタオルを堂々と持ってきたような夫。
いろんな意味でだいじょうぶだろうか・・・
想像はどんどん膨らむ。
もしもの事があった時。
夫がみすぼらしく悲壮感溢れる髭ヅラになってしまい
落ちくぼんだ目でしばらく引きこもったりしたらどうしよう…
きっと子供たちが困るだろうなと考えた。
本当にそれが一番困ったことだとチラッと憂鬱になった。
だが、
結果。
案の定すべてが杞憂に終わった。
病院を出たら天気の良い小春日和。
帰り道歩きながら思った。
一瞬でも自分の命の期限を感じるだけで
一気に景色が変わって見える。
ぐちゃぐちゃの自分で増やしたものや見栄。
どうでもいい事が多い。
普段はサボってばかりで大したことはしてくれない神様。
神様はたまに気づかせようと、いい仕事をする。
飯を食い、風呂に入り、家を散らかし、布団で寝る。
遠くに出かける旅でなくとも、
無事に家に帰ってはばきぬぎが出来るのは
幸せなこと。
ココ
黄昏黒猫堂さんおすすめ↑
コメント
コメントありがとうございます。自分が一番縁起でもない行動をしていますww
でも健康は当たり前ではなく、感謝すべきだと今年は特に思います。
こんばんは、健康診断結果に問題が無くてよかったですね。
旅に出る時のかたずけ、いろいろな考え方があって、興味深いです。
私は、家を空ける時は、それなりにきれいにしておきたいと思うのですが、
なかなか実行できていないのが実情です。(⌒ ⌒;)
旅行前の片付けは、したことがないなぁ。
でも、そう考えたら死ぬ覚悟で旅行に行くみたいだし(笑)
検査結果、特に何も無くて良かったね。
終活はいつも考えていますが
なかなか行動に移せません。
まず、私のことより
6年前に亡くなった爺さんが残した大量の書類を何とかしないと
と思っています💦
無事に帰れるよう、出発前の儀式、人それぞれ色々あるのですね。
人生の旅立ち、自分は旅立ってしまえば終わりなので気楽に受け止めていますが、誰かを残してゆくことは、やはり大きな気がかりです。必ずやってくる命の期限を意識することで、存在することへ否応なく、自分自身を向かわせてくれます。私もファイルにいろいろまとめていますが、旅立ちの前には、そのファイルをどこかに隠し、盗難対策も心掛けています(^^♪
まずは検査結果が心配なものでなくてよかったですね👌🏻
ちなみに僕は旅行に行く前に、部屋を散らかしておく派です。😅
そのきっかけは、母の知人の息子さんの話で、いつもはズボラの極み散らかし放題の息子が海外旅行前にいつになく珍しく部屋の整理や掃除をし、ものすごく綺麗にして出かけたのだとか。何か嫌な予感がしたと思ったら…そして無言の帰宅と💦
まぁたまたまなのかもしれませんがね。そんな話を聞くと意味なく関連付けてしまいます😓
私は今月に旅行に行きました。
普段、つま先で歩かないといけないほど足の踏み場も無い汚部屋なのです。
旅行前に片付けるように家族にうるさく言われたので、仕方なく片づけましたが、
本当は納得がいかないまま仕方なく従いました。
死んだ時にみっともない!と一括されたんです。
旅行じゃなくても人は死ぬ確率はあるけど、旅行の時ばかり
死ぬ確率の高さをやたら言われるのですよねぇ…(*´Д`)
飛行機に乗り、車に長時間‼
普段よりリスキーでしょうけども…(^^;
ココさんのお母さんの言うように、片づける事って縁起悪いですね。
死ぬ事を想定している事になります。
それに生活なんて美しいもんじゃないですよね。
片づける事は、死を彷彿させて、縁起悪い部分ありますね。
旅行じゃなく病気でこ熱心に片づけたりします。
お母様の知恵は、面白いですね。
旅行の時、履いてるパンツを脱ぎ洗濯かごに放り込んでから出発しろがユニークです。
要は、洗ってない恥ずかしいパンツを他人が始末する事になったら、
恥ずかしいから慎重に行動し事故に遭う確率を減らせるんですね。
又、旅行の際、部屋がクチャクチャだと死後、人に片付いてない部屋を
見られるのは恥ずかしいので、
安全に帰れるよう努力する事にも繋がりそうですね。
緊急終活・・・
ココさん実は、命の危険もあるような病気にかかったかもしれない疑いがあったんですね。
でも、とりあえず、急きょ危ない事はなく良かったです…ε-(´∀`*)ホッ
物品よりも、現在はIDやパスワードの問題の方が
他の人が始末しにくい問題ですよね。
形あるモノは見た人が捨てるか自分が使うかすればすむ問題。
こういうのは、ややこしくないですね。
サイトを退会して減らすなどの処置をしたんですね。
定期購入はとめておかないと、ややこしいですね。
現在の終活は、色々ややこしいですね。
いらない洋服がいっぱいとかより、IDパスワードや
銀行の口座の問題の方が残された人が頭を悩ます問題ですね。
旅行は生きて帰れる確率の方が高いから、片づける必要性は
うすくても、不治の病は、そうはいきません・・・。
いろいろ参考になりました。
どうもブッ品の整理より必要なのは銀行とか連絡をどうするかが大事な問題のようですね。
そっか~ 旅に出る前にそんなこと考えたことなかったな~
お母さんの考え方も分かる気がする~
僕の母は92歳、実家の中は不要な物で一杯です。整理するのに数か月掛かりそう^^;
身体と精神のバランスが崩れて体調を壊すことは僕も経験しました。
体力は大切だし気持ちの持ち方も大切!健康第一ですね♪
「通帳に暗証番号をじかに書いたり、ファイルにだいじなものと書いたり」?
これって泥棒さんが大喜びですよ!暗証番号は消して同じところに保管しないようにしてくださいね^^;
がん検査、僕もそんな感じだったんですが、今回は精密検査の血液検査で30~40%癌という数値が出ました。
12月に1泊2日で生検査を受けることに・・・痛そう(+o+)
健康診断でひっかかったり、体で今までにない症状がでて、検索して癌でもそうなることがまれにあるかも?みたいに書かれていたら、私は病院直行します‥(笑)その結果、なんでもなかったら、本当に幸せ😊
でも、病院いく前に部屋を片付けようっていう考えにはならなかったな~。
家族みんなが、どこに何があるかわかるよう、整理整頓しておくのは大事ですよね。いざ、自分に何かあったら家族が露頭に迷っちゃいますもんね😅
同世代の私も、時々自分の今後とか考えたりするなぁ。で、うちのダンナもなーんも分からないから、そろそろいろいろ、分かりやすくまとめておかねば、なんて考えたりする。けど、まぁ、結局考えるだけで、何もせずに終わる。
旅行に行く時は片付ける派だわ~何かあって駆け付けてくれるのが妹だから、だらしないお姉ちゃんで終わるの嫌だしなぁ。不幸の連鎖はぴ~この死と言う一番つらい出来事で終わったな。残りの悪い事持って行ってくれたんだな( ;∀;)
「いい事ばかりあるとかえって怖い」って私も思っちゃう…
「一瞬でも自分の命の期限を感じるだけで一気に景色が変わって見える。」っていうのも、すごくわかるなぁーって思いました。
ほんとに何気ない平和な毎日が一番幸せ、そう思います。
就活じゃありませんでした。終活でしたね。
すみません・・・・・。
備えあれば憂いなしとは言いますが、アラフィフになるとどうしても自身の健康不安から就活なんぞを考えたりしますよね。
考えたくなんぞ無い!と思いつつ、いざというときに家族が困る・・・・・。
でも、就活なんぞを始めたら自分で「死」を受け入れる準備を進んでしているような気がして、どうしても後手に回ってしまったり。
後悔ばかりの人生でしたから、せめて最後の最後くらいは安心して
「ちゃんと準備しといて良かった!」と思えるような閉じ方をしたいものです。
経験則上、運気とか体調とか身の回りで起きる事象とかは全てサイクリックに上下に単振動を繰り返しますよね。そういった上から下に遷移するとき、何らかの気付きがあり、それが杞憂に終わってまた下から上へと遷移し、ちょっと調子に乗ったりして・・、を繰り返している人生ですわww
ほんとうに心からそう思います。
自分の健康も家族の健康も当たり前ではないんですよね。
日常ではない日がその幸せを教えてくれる。
これまで幾度となく感じてきました。
この日常が明日も続きますように🍀