出会い

優しさを交換し合って日々すごせれば。

出会い

よく考えもせずに思いつきで何かをやるほうだし、時々痛い目にも遭う。
今まで失敗と成功どっちが多いか考えてみたがよくわからなかった。

なにをもって失敗と思うかによっても違うだろうが最近は思う。
何かをすれば必ずといっていいほどそこには知らない人との出会いがある。

人間観察は面白い。



ランキングの好きなにんげん。





春に引越しをして娘の越境受験から入学のバタバタもようやく落ち着いた。
コロナ禍の制限はあってもそれなりに友達が出来たり楽しんだりしているようだ。

私は今、ありがたいことに前の職場で掛けてもらった失業保険を貰っているので街を歩きながら次はなんの仕事をしようかと妄想したりする。


最近どこかの就活サイトが底辺の職業ランキングを発表して叩かれているが、
そんな価値観は今に始まったことじゃないだろう。


今はネットでわざわざタイトルをつけて声高に発表しているだけのことだ。



昔は、ひそひそ口の横に手を当てて
「どこそこの家のおとうさんはこんな下衆なしごとでかわいそう・・・」
夕方の食卓や母親同士の井戸端会議だったりで噂していた。


子供は聞き耳を立てている。

大人が自分より少し格下を見つけて馬鹿にしたり、逆に金持ちがなにか卑怯なことをしているに違いないとあら捜しをする会話を聞きながら育つのだ。
それは少しずつ打たれる予防接種のようだ。

人間が決して精錬潔癖で真っ白な生き物ではなく嫉妬や見栄や劣等感にまみれているという事に慣れていくのだろう。




はたらくということ。

世の中はどんどん便利になって働く場所も少なくなってきた。

年も年なので体力勝負の仕事はきついのだろうが、仕事をして流す汗は好きだ。
自分の体でひたすら動いてするきつい仕事。

そういう仕事こそ、その仕事によって喜ぶお客様がすぐ近くにあるものだと思う。

昔テレビで見た羽田空港の掃除をしている女性でカリスマ清掃人と言われている人がいた。

彼女の名前は新津春子さん。
中国残留孤児だった父と中国人の母の間に生まれ、反日感情の強い中国でいじめを受けて育った。
父の希望で日本に帰国した高校生の頃、今度は中国人として二回目の差別を受けていた。

家計も苦しかったので、春子さんは言葉を話さなくてもできる仕事として清掃員という仕事を選びアルバイトから始めやりがいを感じるまでひたむきに頑張った。

常に清掃の仕事が下に見られている意識はあったが自分のしている仕事に対して恥ずかしいとか下の仕事と思ったことはなかったそうだ。

春子さんが仕事をする時に心がけていることが

技術より優しさ
使う人の気持ちを考えて仕事をすることだという。

世界で最も清潔な空港に選ばれるほどのプロ意識。

本当に素晴らしい事だと思う。


世界一清潔な空港の清掃人

なんでもやる前はかならずたいぎになる。

散歩をしながら妄想で色々な仕事をしてみた。
乗り鉄気質なので家から近くの駅構内で働いてみたい。
列車の発車する音をずっと聞いて過ごせるのがなんとも魅力的だ。

そんな妄想をしながら自分がこの年で何ができるだろうと考える。
雇ってもらえれば御の字な立場だ。

私は何もしていないと余計な事ばかり考える基本ネガティブ系おばさんだ。
のんびりすることが苦手なので
本当はいち早く汗を流して働きたい気持ちもある。

余計なことを考える時間を減らすにはたぶん労働なのだ。
汗水流してお給金を貰えるなんてこの上ない幸せで、それで帰りに大好きなまんじゅうなんか買えたらそれが最高に嬉しい。

ハイボールを飲みながら疲れた体で甘いまんじゅうを食べる。
その組み合わせを心から気持ち悪がられる時間。
それがたぶんものすごい幸せなのだ。

なにかおばさんにできることはないだろうか。

そんなことを考えていたら先日農作業のアルバイトを見つけた。

初心者大歓迎。
年齢制限なし。
都合に合う日だけでOK。
これだ!
失業保険中でもできるアルバイト。
そんな感じで軽い気持ちですぐに申し込みをしたのは数日前のことだ。


そして当日の朝。

いつも思うが何の仕事であれ、初日というのは緊張するものだ。

なんで申し込んだんだろう・・・
私にできるだろうか。
この酷暑予報の中で馬鹿じゃないか私。

人はみんなたいていやさしい。

集合場所に着いた。

いきなり渡された地図がもうツッコミどころ満載すぎる。

農地までの地図の途中の目印が<豪邸>と書いていて、そこから先が紙が足りなくなったらしく口頭で説明された。

迷いそうだし怖いので農家のおじさんの車の後からついていきますと言った。
ゆっくり走ってくれた豪邸のその先は、車一台がぎりぎり走れる細さで片側がまあまあの高低差だった。下に落ちたらたぶんJAFの出番だろう。
私の運転技術では絶対に普段は通らないような道だ。

緊張感のある運転ののち無事到着し作業が始まった。

なんでもそうだろうけれど慣れている人の手さばきは惚れ惚れするし、私はこういうコツをつかむ系は不器用で時間がかかる人間だ。
それでも見よう見真似で一生懸命やっているとあっという間に時間が過ぎた。

遠くで色々な鳥が鳴いている。
たまに吹くそよ風が気持ちいい。
自然っていい。
時間が分かるためかラジオが流れる山の中の畑。
たまに好きな曲が流れるとテンションが上がる。
楽しい。
毎日来ようかな。

そんな気持ちでウキウキしていた。
早朝の最初の一時間ぐらいは。


「地球温暖化」狂騒曲 社会を壊す空騒ぎ [ 渡辺正(化学) ]

だんだんおひさまが本気を出し始めた。
じりじりと真上から照らす。

カチカチ山のたぬきの気持ちが分かるくらい背中が熱い。
水分補給は各自ということだったが、今まで生きてきてこんなに水が飲みたいことはなかっただろう。
塩飴を食べながら、水を飲みながら、肩で息をしながら気が付いた。

「畑は虫刺されになるから長袖が必要だから貸して」
「ババシャツだってばれないよね?ロンTに見えるよね?」

今朝。
娘と会話して半袖の下に重ねた黒い長袖のババシャツ。
よく見なかったが、たしかこれはヒートテックだった。
地獄…

毎日来ようかなって思った自分。
考えがあますぎる。


【訳ありアウトレット品】サウナスーツ パーカー トップス ダイエット 発汗 ダイエットスーツ スポーツウェア メンズ レディース 大きいサイズ ボクシング トレーニングウェア ウェア おしゃれ シンプル ブラック トレーニングウェア アウター 上着 父の日 ギフト

時間が進むにつれ近くの人と話をした。私以外は皆ベテラン揃いだった。


はじめてで何も出来ないくせにおしゃべりばかりと思われたくもないので最初は喋らないように静かに遠慮していたがベテランのお姉さんは私の二倍くらいの速さで作業しながらめちゃくちゃ言葉がけが優しい人だった。

もっと適当にやっていいのだよという、人を楽にさせてくれる優しさが目に現れている。
マスク生活になって思うのが、本当に目は口ほどにモノを言う。

緊張感を和らげる空気感。

もう一人の男性もおばさんの私のトイレを常に気にしてくれた。
あんまり何回も心配して聞いてくれるので「膀胱が人より大きめなのでかなりの時間大丈夫なタイプです」と言っておいた。
たぶん繊細過ぎて気疲れするのではないかと思うくらい人に気を遣うタイプなのだろう。

どう考えても自分より年上のおばさんである私に「おねえさん」と呼んでいるのが申し訳ない。
聞くと10年くらいお母さんの介護をしていたのだが、最近突然亡くなってしまったらしい。
なにかやり残したような後悔と傷心から立ち直ろうとしていると話していた。

「恥ずかしながらいまだに独身でして・・・」

「恥ずかしくなんかないですよ。」

そこまで自虐的にならなくていいのに。

話しているうちに思う。
この人はずっとずっと自分よりお母さんだったり他人だったりを優先して生きてきたんだろう。
人に気を遣い自分を少しディスりながら話す。

突然亡くなったというお母さんは絶対に生き足りなかったなんて思ってるわけもなく、
ある意味息子の人生後半の時間。
あとは自分のためにわがままに生きなさい、まだ間に合うし時間はあるから。
そう思ってるに違いないと思いながら少し話した。

独身であることなんて単にいい出会いがなかっただけなのだ。結婚するというのはほんとにたまたまタイミングが合っただけで、その機会がなかったことを恥ずかしながらなんていう必要はまったくない。

もう少し自己中になればいいのに。

農作業をしながら声をかけてくれる。

「今日が初めてなんですから焦ることなんてないですよ。ゆっくりやりましょう」

たぶん私がうまくできずに焦っているのを見て、見守るように作業してくれているのだ。
根っからの面倒見のいい人なのだろう。

私が水を飲んでいる時に、私の口元のほくろを見て
「それってピアスですか?」と言ったあたりからちょっと性格が天然なところもあるのだろう。


昨日までは全然知らなかった人。
明日からもたぶん会うことはない人。
同じ時間を共有するたった一日の数時間であってもそこにはお互いへの気遣いがあった。

ほんの少しの会話であってもなにかその人の悲しみだったりが伝わってきて
出来れば幸せになって欲しいと願わずにはいられない。

誰でもできる単純作業。
そうであってもそれをやるのは人間であって機械ではないのだ。
稼ぐというのは人それぞれで、職業に底も天井もない。

出来得るならば必要以上に自分を卑下しなくてもいいような世の中がいい。
恥ずかしながら・・・なんて言わずにいれるようだといい。
普通とか平均の生き方に揃えなければならないことはない。

介護だったりで何年か自分の為に生きれなかった人もいるだろう
人生の歯車が少し狂い誰もが急にお金に困ることだってある。
安心して働いていた会社が急につぶれることだってある。

うまくいかない時にも生きやすくて優しい世の中や考え方になって欲しい。
話しながらそんなことを考えてすこしほろ苦い気持ちになった。

さいごにかならずなにかある。

「今日はありがとうございました。お気をつけて」
「暑かったですね」

「なんか話せてよかったです」

灼熱地獄の一日が終わり、みんな挨拶を交わしお給金を受け取った。

朝に想定して用意してきた水の量がちょっと少なかったので喉がカラカラのパサパサだった。
実はちょっと熱中症になりそうな危機感があった。

朝通った細い道。
やらかして下に落ちないようにマリオカートみたいに運転した。
汗だくだったが肉体労働の後の心地よい疲れ。
山を抜けてからは爽快にドライブだ。
それにしても早く何かをごくごく飲みたい。

「今日はちょっと贅沢にコンビニでアイスコーヒーを買って飲もう。」

ファミマで長靴姿でレジに並んでいたらやけに周りの目線が気になる。

ふと気が付いた。
腰に農作業のはさみが付いたベルトをしている。
なかなかにはげしい恰好だった。

最後の挨拶に気をとられすぎて道具を持って帰ってきてしまっていた。

なんちゅう失敗。
正直あの道を戻るのは死ぬほどめんどくさい。

慌てて電話をして明日の朝に待ち合わせ場所に持っていきますとおじさんに告げた。


そして次の朝。
少し早めに道具を返しに行ったら、優しい農家のおじさんがニコニコで待っていた。
待ち構えていたような感じだった。
なにかの神様についてあなたにお話ししたいとのことだった。
丁寧にお断りして帰ってきたがちょっとだけ気まずかった。

信仰心はいい事だ。
信仰がある人は心の支えがあってそれはそれでいいと思う。
きっと全然悪気とかじゃなくて勧めてくれたのだろう。

でも次はこの人じゃないところにしようと心に決めた。あの細い道路もちょっと怖い。
それにしてもどこかに出かけると必ず何かあるよねと長女に呆れたように言われる。

たった一日で色々なことがあったような気がする。


そして世の中にはいろいろな人がいる。

                     ココ





コメント

  1. ココココ より:

    つぶあんさん
    紫外線アレルギーは大変ですね。
    これからの季節も気を遣いますね。
    農業はハードでしたが楽しさもありました^m^

  2. つぶあん より:

    こんにちは。ココさん。
    カリスマ清掃人さん、確か私も失業中偶然にテレビで見たのを思い出しました。清掃の仕事もいいなと思って考えるきっかけになったほどです。農家のお仕事のアルバイト、たまにありますね。わたしは紫外線アレルギーでできないお仕事ですが土いじりって無心になれる気がしています。
    私もちょっと前まで就活していたのでいろんなこと思い出しました。

  3. ココココ より:

    ひでぴんさんそうなんですよ。
    何の仕事であっても要領とかプロ意識はあって、見下される筋合いはないんですよね(‘ω’)

  4. ココココ より:

    たき子さん^m^
    サラッと書いたが本当に最後の勧誘だけは参っちゃったよー😭

  5. ココココ より:

    たまぞうさんほんとそれ😂
    介護とか保育とかやってもらって本当に感謝しなきゃな業界も賃金が安いし。

  6. ココココ より:

    そうなんですよー。独身って恥ずかしながらではないですよね。
    優しい方だったのでいい出会いがあればいいなって思っちゃいました^m^

  7. きょう より:

    こんばんは♪今家庭菜園にハマっているのでいろいろと自分に重ねて楽しく拝読いたしました。職業に貴賎なしというけれど実際のところいろいろな偏見があると思うし、そういうわたし自身もなんの偏見もない聖人君子とは思ってません。
    だから他人のことをとやかくいう前に、自分をかえりみるように心がけていこうと思いました(^^)

  8. スティンガー五郎 より:

    この年になって、改めて「働くとは」?と自問自答しています。
    今の会社にしがみつき、定年まで精神的に不安定で過ごすのが良いのか
    思い切って違うところで働いてみるのか?

    何をするにも実行するのは自分ですから、結局は自分が納得する形で働いたほうが良いですよね。

    色々考える夏になりそうです。

  9. 汗水垂らして働いてる方、底辺という考え方…世の中広いし、色々あるのだなと思いました。
    私は素材屋として活動しながも、在宅で色々としてて…
    それだけで汗水垂らして働いてる方には頭が下がります。

  10. ひでぴん より:

    楽しく読ませていただきました😆
    世の中では作業労働を馬鹿にするような風潮が少なからずあります。頭を使わない仕事なんかして…って😒
    どんな仕事にしても頭を使わない仕事なんて、ないんですけどね💦
    相変わらず変な偏見がはびこっています😓

  11. たき子 より:

    底辺の仕事って言う価値観すごいよね。人のお金を右から左へ動かして上前ピンハネしてる“スマート”な仕事よりよっぽど大切な仕事ばっかりなのに。
    最後の勧誘は。。。微妙すぎ^^;

  12. たまぞう より:

    どんな小さな仕事も社会を支える重要な仕事だと思うわ!
     職業に上も下もないって強く思うけど、でも報酬に差はあるよね;

  13. 土偶のどっ子 より:

    地図の「豪邸」に笑いました🤣さぞかし立派なお屋敷だったのかしら…。ほんと、職業に上も下もないですよね。この暑い中、汗水垂らして働いてる方たちには、どんな職種でも頭が下がります。独身であることも卑下しなくていい社会になってほしいな〜。今の時代、独身って全然ふつうですよね😊

  14. ココココ より:

    デメントリってなんかカッコいい^m^
    ぱっと思いつかないけど英語からきてる言葉がなまって定着したって結構あるよねー。
    農家バイト、ピーコが怒っちゃうから一日中は厳しいかもだけど、鳥さんの鳴き声は何種類もしていて気持ちよかった。
    鳥天さんだったら喜ぶだろうなって思いながら作業したよ(^^♪

  15. ココココ より:

    豪邸って!!!って地図を渡された瞬間突っ込みたかったです^m^

  16. 鳥天 より:

    農家の季節のアルバイト、こっちではデメンとりって言うんだよね。開拓時代、指導者はアメリカ人だったからかしらね?day menがデメンになったってことらしいけれど。私もぴ~こがお留守番できる子ならやりたいアルバイトよー

  17. AKAZUKIN より:

    地図の目印が「豪邸」!!
    世界は広いし、いろんな方がいて、いろんなお仕事があるなぁー。。