自分の記憶にある限りでは、二月二日はいつも震えるほど寒い。
毎年記録をとっていたわけではないのだけど、暖冬だった今年でさえも、
やはり誕生日のその日は、例外なく厳しい寒さだった。
出勤時間の路面は、リンクのようにテカテカに凍っていた。
運転が下手な私は、後ろに迷惑な大渋滞を作りながら職場へ向かった。
途中、車が田んぼに落ちていた。
ハンドルをとられてしまったのだろう。
緊張で胸がヒュンとする。
北国の冬の厳しさを横目に見ながら、気が引き締まる。
フロントガラスのずっと先に見える、冬の真っ白な景色の美しさに心を奪われる。
厳しさと優しさの両方がある冬。
わたしはこんな2月が、好きだ。
2月が毎年スタートの月。
毎年2月2日は、大晦日から元旦に変わる日のような気持ちだ。
去年の誕生日からの一年間が終わって、また新たな一年がスタートする
その日を境に、少しずつ元気が出て色々な事をしたくなる。
12月、1月は非日常の連続と言った感じで、どこか心が落ち着かない。
楽しいことも多いのだけれど、頭の片隅に同時進行で憂鬱さが同居している。
私は20代で一家離散を経験した。
そして親子関係が現在進行形で複雑だ。
実家がそういう感じの者にとって、年末年始とは、向こうから歩いてきた苦手な陽キャグループくらい、一刻も早くやり過ごしたい存在だ。
その反面、私も親なのだから、自分の子どもが帰省する年末年始は浮かれてもいる。
楽しみと憂鬱が入り混じった冬の期間。
色々なイベントが落ち着き、地味な日常に戻る2月。
その地味さが非常に私の好みに合っている。
なにより、2月の短さもいい。
気負わずにのんびり過ごせる感じがいい。
4週間で終わるのもいい。
あっという間に終わる潔さ。
3月のあの春を感じる空気の匂い。
短い2月が終わると、
そろそろ感じることが出来る。
私は、休みの前日が好きなのだけれど、2月はそれに少し似ている。
頑張った数日間が終わって、明日の休みは何をしようかと気持ちに余裕を持って過ごせる前日の夜。
春を楽しみに過ごす2月。
2月2日。
私は毎年、この日を境に、気持ちがリセットされる。
ココ