最近自分はなにをやっても不器用なのだと心から実感している。
だれでもひとつくらいは得意なことがあるもんだというけれど、自分にはまじでこれといって得意なことがない。
運動神経ゼロ。
絵も字も下手だし、手先も器用ではない。
頭も良くないしかといって性格もあんまり。
私のようなタイプは保育園や小学校時代は非常に過酷で生きずらかった。
そんなこともできないのか!だったり下手くそだな。なんて言葉を常に聞いた。
おまけに早生まれだったので、まわりについていけないことが多かった。
ふつうが出来ない。
それでも大人になるにつれて不器用さなんてどうでもよくなる。
50代にもなると、さも普通になんでもできますという顔をして生きている。
色々うやむやになってくるのでおばちゃんになるとらくちんだ。
不器用な我が子を持つ人には、ぜひゆるゆる気楽に育てて欲しいし
今、まさに不器用な子供をやってる張本人には、あと数年待っとけと言いたい。
学校のような集団生活が終わると、できない事からある程度逃げれる。
なんも出来なくたって、なんとかなる。
母に似たぶきっちょ。
ゴールデンウィークに急に息子が帰省した。
この息子はいつも唐突だ。
今年農学部4年の息子。
今年が一番忙しいらしく、あと卒業までは帰ってこないと宣言した。
どうやらスーツを着て通うサラリーマンではない仕事を選ぶようだ。
自分の人生だからやりたいことをやればいいと思う。
来年から仕事に通うのに車が必要らしく、その相談もあっての帰省だった。
運転初心者のうちは何回かはこすったりするだろうから、惜しげなく乗れる私の古いソリオを譲ることで話がまとまった。
親としては子供が運転を始めるのが本当に心配だ。
自損事故なら自分が修理代が悔しいだけで済むが、相手がある話ならばそうはいかない。
自分も運転を始める時はさぞかし親に心配をかけたのだと、今になると分かる。
口うるさく色んなことを言いたくなる。
今年のゴールデンウィークは運転練習をした。
息子にほぼ毎日短い時間であってもハンドルを握らせた。
家にいた時、いつも通話しながら夜中にマリオカートのゲームをやっていたけれど、残念ながらそれは運転には生かされていなかった。
実際の運転はやっぱり初心者で危なっかしい。
長女の時よりも心配になった。
息子は私ほどではないが、不器用な部分があって心配だ。
なんとなく私の側に似てしまった気がする。
それにしても夫は息子の助手席でのんびり構えているのが凄い。
うしろで私と娘二人が恐怖で無言になっているのに、たいして注意もせずに黙って見ている。
あとから聞いたらけっこう緊張して足に力が入ったようだが、こういう落ち着いて見ていれるところはいつも感心する。
ゴールデンウィーク最後の日。
息子は案の定帰りの切符をとってこなかった。
鈍行で適当に帰るからいいと言ったが、運転練習がてら途中の仙台まで送って行くことにした。
万が一のために娘には留守番をさせ、早朝の空いた時間に走った。
次の日。
運転していないのにふくらはぎがえらい筋肉痛だった。
たぶんめっちゃ力が入っていたのだろう。
どこの親もこうやって子供の運転に乗って教えているのだろうが、最初はやっぱり怖い。
一からやりなおしか。
来年息子に車を譲ってから、車をもう一台買うかどうか迷っている。
車必須の地域ではあるが、夫は最近健康のために歩いて職場に通っているので、日中は夫の車が余っている。
それを乗ればいいのだけど、困ったことにディーゼルのマニュアル車を乗っていて
なんでこんな車を買ったんだと今は思う。
出来ればこだわらないで乗りやすい車を選んで欲しかった。
私の免許は一応マニュアルなのだけど、何年も運転していないからたぶんできない。
それでも昔はもっと乗りにくい車だったからまだ、ましかもしれない。
私は社会人になってから、神奈川の京急上大岡の自動車学校で免許をとった。
はじめて構内で車に乗ったのが珍しく関東で雪の日。
そして免許を手にしたのが真夏だった。
どれだけ時間がかかるんだと周りに心配された。
忘れもしないS字クランクが出来なすぎて、若い教官に構内で車を降ろされた。
タイヤの動きをよく見ろと言われ、延々怒鳴られ3段階を合計9時間くらい延長したがそれでも出来なかった。
若い教官は熱血で、なぜかずっと指名させられていたが毎回ハンコは押してくれずだんだん教習所に行くのも憂鬱になっていた。
その頃、その教習所には小型のバイクの免許を取りに来て何十回も落ちている伝説のおじさんがいた。
どうやらバイクの運転はとっくに出来るのだけど、学科がダメみたいで何回挑戦しても落ちるようで、本人は目が悪くて字が見えないせいにしていた。
すっかり顔見知りになったそのおじさん。
教習所に来るのにバイクに乗ってきていた。
神奈川の少し田舎の方だったが、無免許運転なんて今思うと信じられないくらいゆるくてヤバイ時代だったと思う。
たぶんその時の自動車学校の2大出来の悪い生徒が私とおじさんだった。
あまりにだめなので、若い熱血をやめてベテランの人気教官を指名して教習を受けてみた。
「あらあら、ずいぶんお金無駄につかったな」
「あのね、実際こんなS字みたいな道を走ることはないからね」
開口一番そんなことを言った。
おじさんは福島出身でゆったりとしたカワイイ喋り方だった。
そのおじさん教官の隣で運転したら不思議なほど一発でうまくできた。
あれほど出来ずに脱輪していたS字クランクなのに急にできるようになって、自分でも驚きだった。
難しいことを言われたわけでもなく、どちらかというと何も言わずに乗っているだけの教官だったが緊張させないオーラがあったのだろう。
その教官に教えてもらってからは一回も延長することなくとんとん拍子に進み、神奈川の3車線の道路で路上教習を受けても「うまいうまい」と毎回褒められあっという間に合格できた。
不器用な人に怒ってもできるようにはならない。
うるさくいうのが上手くいくもんでもないのだと今になるとつくづく思う。
自分の車だと話は別。
そんな苦労して取ったはずのマニュアル免許。
最近、山奥の人が来ないようなだだっ広い駐車場でマニュアル車の練習を始めた。
案の定、クラッチがスムーズに入らずエンストばかりしている。
ガガガ。
音がするたびに、めっちゃ夫がうるさい。
車がダメになる。
もっとクラッチ離す時はゆっくり。
踏め。もっとクラッチ踏め。
ギア変えろって。
遅い!
早すぎる!
焦るな。
おや。
息子にはあんなに黙って見ていられるのに。
最近は、中古車の情報ばかり見ている。
私も見ているが夫もそうだ。
マニュアルはあきらめるか?
それとももう一回マニュアルを習いに教習所に行こうか?
来年までに私も息子も運転練習頑張らないと。
不器用はやはり何をやるにも時間がかかる。
ココ