過ぎたことを悔やむくらい、無意味なことはない。
分かっているけど、時々なにかのきっかけで、嫌な奴だった自分を思い出す。
自分が一番覚えているあれやこれや。
思い出すと、はぁー
と、声が出てしまう。
ブラッシュアップライフみたいに記憶を持ったまま人生やり直せたらなぁ。
一瞬そう思ったけれど、それも面倒だ。
ということは、これからの自分に期待するしかない。
変わらねば。
りふじんママ。
今考えると、なんであそこまで怒ってばかりいたのだろうという子育てだった。
第一子ははじめてだから。
第二子は男の子だから。
それにくらべると、第三子にはさほど怒らない。
そのかわり、心配しすぎているから、それはそれでおそらく窮屈だろう。
厳しくばかりしていた。
例えば誰か知り合いと会って、立ち話をした。
その人に、きちんと聞こえる声で、はっきり挨拶できなかった時。
車に乗ってから、いかに今の態度が良くなかったのかぐちぐち説教をした。
狭い密室の車内。
子供にとっては地獄。
また違う日。
習い事だったり、皮膚科や耳鼻科だったり、連れて行かなければならない用事を控えている日。
学校まで迎えに行き駐車場や門の前で、出てくるのを待っていた。
待てどくらせど出てこない。
特に長女はおっとりしていた。
同じクラスの、知った顔の子が何人も出てきてみんな帰ってしまい、人がいなくなってから、ゆっくりのんびり出てきた娘。
勝手に早く迎えに行っておきながら、待たされたことにイライラした。
「スイミングに間に合わないじゃない。」
だったり
「皮膚科が混むじゃない。」
きーきー叱ってばかりいた。
「朝から言ってたんだから、今度からもっとさっさと出てきてよ。」
学校帰りにトイレに行きたくなって、スッキリしてから来ただけなのに。
娘はしょっちゅう学校帰りにトイレに行ってから出てきた。
その都度、ひたすら出てくるのが遅い事を責めた。
なんであんなに、
早く早くと言っていたのだろう。
今考えると、別に遅くたって良かった。
「あらスッキリしてよかったね。」
「じゃスイミング行こうか。」
ニコニコ顔で、こんな事を言える母親だったら良かった。
あー。
自分の体裁。
私の理不尽さに見かねた母に、物凄い剣幕で怒られたことがあった。
長女がまだ小学生だった頃。
その年の夏休み、母がアパートに泊りがけで遊びに来ていた。
夏休みの出来事を毎日一行ずつ書くひとこと日記。
一枚の紙なのだけど、初日から全然書いてなくて、何日分もまとめて書いていた。
片づけずにそこら辺に置いたせいで、テーブルの油のシミがベタベタについてしまった。
こんな汚いシミのついたでひとこと日記を学校に出すの。
はずかしい。
片付けの悪さから始まって、普段の生活態度まで飛び火する。
偉そうに長々と説教をしていた。
しょんぼりしている長女を見ていた母に言われた。
今のあなたの声がうるさすぎる。
いい加減やめなさい。
夏休みの宿題なんてものは、えだ豆が挟まってたり、スイカのシミがついたり、よれよれになっていたり、だいたいそういうものでしょう。
あなたなんか、もっともっとだらしなかった。
なんなら学校の先生の家だって、夏休みなんてのはそんなもんだ。
シミのついた宿題を見たって別にどうも思わない。
子育てしてて、そんなにきちきちしてる家があるもんですか。
そんな夏休み楽しくないでしょう。
ダラダラできるのが夏休みなのに。
あなたは、自分の片付けの悪さが先生にバレるような気がして、
恥ずかしいからこの子を責めてるだけ。
要するに見栄っ張り。
テーブルをすぐにちゃんと拭かないで、汚いままにしていた自分を棚に上げて、プリントについた油のシミを責めてるだけ。
汚い宿題の紙を持って行かせればいいでしょう。
本人が恥ずかしいだけなんだから。
ぐうの音も出なかった。
しかし、母は私には理不尽なくらい厳しかったのに。
怒るわ叩くわ凄かった。
子供の頃は、いつもお前のせいで世間様に恥ずかしいと言っていたのに。
孫には優しい。
これからはありのまま。
とにかく私は、見栄っ張りで未熟な親だった。
それでもグレずに素直に育ってくれた子供達を見ると、泣けるほどありがたい。
でも、どこかに辛かった子供時代が残っているのかもしれない。
そのせいで、生きづらさを抱えていないかと、時々気がかりになる。
やられた事は、きっと忘れずに残っている。
私だってそうなのだから。
スーパーや、病院や、公園でめちゃくちゃ子供を怒っているママを見かけると、
あの頃の自分を見ているようで、ちょっぴり心が痛む。
”そんなに怒らなくていいんじゃないかなぁ”
しょんぼりしているその子を見て、心の中で思う。
立派に育てなければというプレッシャー。
クソ真面目に取り組んでいるからキレやすい。
おかあさん頑張りすぎないで。
あっという間にその子も家を出るのだから。
お母さんは出来るだけ笑っているほうがいいよ。
今なら分かるのに。
そして、
幼かったあの頃の子供たちに謝りたい。
私が未熟だったように、きっと私の母も未熟だった。
そして、心の傷がこれ以上連鎖していきませんようにと
時々、祈るような気持ちになる。
ココ