ココからのブログ

昭和生まれの50代ココです。

助走をつけて飛ぶじゅんび。

あ、あ、あー。

からっぽになった部屋で声を出す。

狭い部屋だったが荷物を出すと案外広く感じる。
やけに自分の声が響くのでなにか1曲歌いたくなるが、唐突にアカペラで歌えるほど自分が陽キャではなかった事に気がつく。


次女の高校が決まると共に怒涛の引越し準備が始まった。

父親の2年間の4時起き片道50キロ通勤。
今年の大雪もあって色々調べていた。
夫の勤務地のある土地の高校を受験すると次女は自分の中で決めてから相談した。


こういう時の決断は驚くほど早く自分に似たものを感じる。
「知らないところでもきっとどうにでもなる。むしろ楽しみ」

その日から準備の日々が始まった。


未熟な親と子




この街に引越して来た時。
我が家は5人家族からスタートした。

子供と狭いアパートに折り重ねるように生活していた。

10年あまりの間に、長女が就職し長男が大学生になって順番に家を出て行った。
それぞれが悩んだり落ち込んだりしながら自分で考えて決めた。


思春期。

よくわからない腹痛だったり、熱が出たりして夜中に病院に行ったりもあった。
心と体。
なんだかはっきりしない不調もあった。


学校で誰と弁当を食べよう?
学校が明日急に休みになればいい
大雪が降って電車が止まればいい
だまれババアと思ってるが言えない
否定ばかりしないで欲しい
心配ばかりしないで欲しい
矛盾することばかり言わないで欲しい
早く自由になりたい


様々な事を考えて自由への道を虎視眈々と準備していたことだろう。


母親は時に良くないフラグを立てる。
だめになるよ。
失敗するよ。
あなたたちのためなんだよ。



自分の気持ちに余裕がなく心配ばかりして
悪いことばかり考えている。



きちんとしなければと辛くあたっていたり
日々の忙しさに怒ってばかりいる。


そしてそれが続いている事に私が気付かずにいると
たいてい子供は熱をだしたり調子を崩した。


苦しそうな子供を見て優しくなかった自分の態度に気が付くのだ。
免疫力を下げているのはたぶんたいてい母だ。



桃の缶詰、チーズ蒸しパン 、ゼリー、ポカリ、バナナ。

思いつく食べれそうなものを山のように買ってきていつも出したことのないような猫なで声で言う。


「今はとにかく寝てなさい」

今更ながら反省し、気が付く。
元気ならどうだって問題ないんだな・・・



うんざりするほど濃い日々を過ごし出ていった娘と息子。


子供それぞれ自分の人生。



先日。
コロナ禍なので予定していなかったが、急遽娘も息子も帰省し

家族5人久しぶりに揃って墓参りに行った。

母親の愛情という濃すぎる毒が数年でデトックスされ少し痩せた娘と息子。



それぞれが自分の人生を自由に楽しみ、色々なことに悩んでもいるのだろう。




あと3年。
新しい土地。



次女も兄と姉の真似をして、様々な事を考えて準備をすればいい。



お世話になったこの街。

好きな景色。

悩みながら散歩をした道を通りながら
ゆっくり別れを惜しもうと思う。




ココ