ココからのブログ

昭和生まれの50代ココです。

おしゃべりしながら、おばあさんの中の少女を探す。

 

 

 

ここ最近、色々な人とお話をする機会が多い。

私は清掃の会社で働いているのだけれど、依頼されたお宅の掃除以外にも単発で違った内容の仕事を手伝ったりする機会がある。

 




先日も、スーパーでイベントがあって、レシートを持ってきた女性のお客様に、空くじなしの抽選をしてもらい、簡単なアンケートに答えていただきながら、最終的にはこちらのサービスを紹介するという仕事があった。

 

 

 

もし自分だったら、空くじなしの抽選なんて、なにをしつこく勧誘されるか分からないので、速攻で
「いらないです!」と言って足早で立ち去る。
疑い深いので、何の勧誘も説明も、自分から聞きに行ったこと以外、耳を貸すつもりはない。
それを、自分がやる側になるのか・・・


若いときは接客業ばかりだったから、人と話すのは苦手ではないのだけれど、最近は時代も変わって色々難しそうだ。





朝一から、自分が戦力になるか心配しながら現場に向かった。



 

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人に声をかけずらい時代になった。

 

 

 

その日、自分が役に立ったかちょっと不安が残る。

それでも、終わってみると充実感のある一日だった。

アンケートへの答え方も人それぞれで、最初から最後までこちらを笑わせるような凄い話術のサービス精神旺盛な方もいた。

おススメしたことに対しての断り方も、本当に人それぞれで、嫌な感じのしないやんわりとした話し方は、勉強になる。

逆に、抽選ついでにアンケートをお願いすると、
「冷凍食品を買ったんだから無理。早くしてよ!」と、大声で怒られたりもした。

無理もないのだけれど、人に対しての態度について考えさせられた。




ベンチで何分も、ずっとこちらを見ていたおばあさんに手招きされたので、近くにいくと
「何をやっているの?」と聞かれた。

 

趣旨を説明すると、アンケートに答えてあげてもいいというので、早速伺うと、その方の年齢を聞いて驚いた。

94歳だった。


お顔がどう見ても、70代くらいにしか見えないのだ。
若い頃から、癌だったり、様々な病気をしながらこの年までどうにか生きてきたのよと話していたが、耳もしっかり聞こえ、受け答えもテンポよくお話しされ、なによりスーパーに自分の足で買い物に来れるのが凄いと思った。


 

「私もお姉さんみたいに若かったのよ、今じゃ棺桶に片足を突っ込んでるけどね」


こんな自虐を言いながら、明るく笑う。

 

確かに、90代の方から見れば、50代の私なんてまだまだ若造で、お姉さんなのかもしれないと思うと、元気をもらえた。

 

 

お姉さん。

 

いい響きだ。




負けてはいられない。

 

 

一日を通して、「お役に立てなくてごめんね」だったり、「頑張ってね」なんて言ってくれる人が多く、世の中まだまだ捨てたもんじゃない。

 

こちらとしては、足を止めてお話を聞いてくださるだけでありがたく、これからは、ティッシュやチラシを配っている人を見たら、せめて受け取るくらいはしなければと心に誓った。

 

 

 

 

 

心は少女や少年のまま。




一か月に一度だけ、お客様のお宅に商品をお届けに伺う事がある。

 

 

何日か前も、可愛いおばあさんがいた。

前の日に電話で、明日行くことを伝えてあったが、約束の時間にピンポンしても、玄関のカギは開いたまま、家はもぬけの殻だった。

 

広い庭をうろうろ探し回っていると、シルバーカーを椅子代わりにして座っているおばあさんを見つけた。

「おめは、誰だ?」

めちゃくちゃ訝しげにこちらを見ていた。

 

 

「あー、あんたが来る日だったな!」

 

だんだん私の事を思い出してきたおばあさんと、家までの短い道のりを、ゆっくりゆっくり歩く。

「天気がいいので、庭のフキを取りに来た。」

 

 

「朝はあんたが来るって、分かっていたんだけど」



「ごめんごめん」

 


傘にできそうなくらいでっかいフキを持ってシルバーカーを押しながら歩く。

 


玄関先で、お詫びにもらったファンタを一緒に飲みながら、いかに最近忘れっぽいかについて話をした。

そして、家族に怒られている話も教えてくれた。


負けずに私の忘れっぽい話や、失敗談も教えて盛り上がった。

 

 

「それじゃあ、また来月」


「もし忘れていたら、この辺を探してみて。」



「はーい。」


こんな感じで帰路につく。


 

私の母も、随分言ったことを忘れるようになってきたが、よそのおばあさんならなぜこうも寛容になれるのかと、毎回思う。


自分の親だと、こうはいかない。
期待や甘えのない、一対一の人間として向かう
と、同じような事なのに腹が立たない。

 

よそのおばあさんと話しをしながら、学ぶことや気づくことがある。



自分の忘れっぽい失敗談をしてはみたが、きっと、80代90代じゃないと分からない、全くレベルの違う忘れ方や、衰えや不安があるのだろう。

 

年齢と共に様々な事が出来なくなり、身内に対して頑固になっていく。



長く生きてきたのだから仕方のないこと。

 

反面、案外、90代も変わらないんじゃないかとも思ったりする。

 

 

 

 

自分が想像していた50代。

いざなってみると、思っていたより全然、何にも変わらないガキだった。

高齢になってもきっと若い頃とそんなに変わらない感覚も、あるような気がする。



高齢のおばあさん達のお顔の中に、少女のような表情や、人懐っこくいたずらっぽい表情が時々見える。



おしゃべりしながら、時々舌をだして肩をすくめたり、意外にも最近のトレンドに詳しかったり、先進的な考え方を聞くとウキウキする。



短い会話であっても、人と話すのはエネルギーをもらえるし、自分の母親について考えさせられる。

 

 

 

 

 

 


いつかは自分も行く道。

 

 

いつまでも好奇心旺盛で、面白がれるお年寄りになりたい。


そんな風に思う。




                ココ